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44.終わり

「なんで?貴族相手に眼鏡を送るのはマナー違反なの?」

「そんなことはないけど。これを送ったら、クリスティーナは後悔することになると思うよ。」

「だからなんで?」


もしかして、お兄様が分厚い眼鏡を送ったのには意味があるのだろうか。お兄様は聖力で性質付与した眼鏡ならレンズの分厚さに関係なく見えると分かっていたはずで、その上であのダサい眼鏡を送ったのには深い理由がーーー


「あいつ面がいいでしょ?」

「うん?まぁそうだね。」

面、という言い方よ。確かに眼鏡を取ったらイケメンだと思う。

「そんな薄いレンズの眼鏡にして目が分かるようになったら、その面の良さがバレてモテまくるよ。それでいいの?」

「あっ。」


その発想はなかった。


「まだ正式に婚約したわけじゃないし、それは早いんじゃないかな。」

「そ、そうかもしれない!」


そもそも公爵家の嫡男で、頭も良くて性格も…お堅い以外は良いパージバルさんに顔の良さまでついてしまったら、おおモテ間違いなしだ。パージバルさんは浮気するような人じゃないと信じてるけど、不安要素はできる限り減らしておいた方がいい気がする。


「ありがとうお兄様。渡さないでおく。」

「うん、俺のためにもね。」


俺のためにも…?


「ねぇ、お兄様はなんであんな分厚い眼鏡をパージバルさんに渡したの?」

「そりゃあもちろん…」

「もちろん?」

「俺の横に俺より面のいいやつはいらないんだ。」


クソかよ。


そう思わず口走りそうになったけど、そのおかげでパージバルさんに女っ気がなかったのかもしれないので、喉の奥で押し留めた。



「あの〜お二人仲が良すぎませんかね?実の兄妹だと分かっていても、なんだか嫉妬してしまうのですが…。」


嫉妬!パージバルさんが嫉妬だって!

恋愛経験が無さすぎて、なんか全てが嬉しいんですけど!


「ごめんなさい。お兄様とはただ今まで共に過ごした時間が長いだけで、パージバルさんの方がずっと大切ですよ。」

「お兄ちゃん泣いちゃいそう。」


泣き真似をするお兄様だったが、私もパージバルさんもスルーする。


「それで、ご褒美というのは?」

期待に満ちた顔でパージバルさんは私を見つめてくる。


「あ、そのえーっと。実は渡せるものじゃなくって。」

「マナーとか、気にしなくて大丈夫ですよ。ク、クリスティーナからもらえるものであればなんでも嬉しいです。」

「その言葉はすっごく嬉しいんですけど、私が渡したくないっていうか。」

「そうですか…。」


しゅん、と落ち込むパージバルさん。なんだかすごく悪いことをしている気分になる。実際、持ち上げといて落とすって最低だよね。


「物じゃないご褒美でもいいですか?」

「?はい、もちろん。」

「じゃあ目を閉じてください。」

「はい。」


パージバルさんが目を閉じるのを確認し、私はゆっくり彼に近づく。


そして、彼の頬に口付けた。



「!?!?」

「ご褒美です。」


頬に手を当てて顔を真っ赤にして口をぱくぱくしているパージバルさん。年下の私にいいように揶揄われて可愛い。


「口でのチューは流石にお兄様の前ではできませんからね。」

「そ、そうですね。」

「早く婚約しないといけないですね。」

「死ぬ気で説得を頑張ります。」

「私も頑張ります。」


2人で顔を見合わせて笑う。
















「ねぇ、本当に何なの?羞恥心をどこに落としたの?拾ってきてあげるから落とした場所教えなさい。」


本当早くこの兄排除しなきゃな…。




本編最後までお読みいただきありがとうございました!


番外編までお付き合いいただけると嬉しいです(番外編は一気に7話投稿です。)

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