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37.かくれんぼ

その日は近くの教会へ祈りと孤児のお世話のために来ていた。月に何度かある不定期イベントだ。


ここにいる孤児たちは神殿にいる子供たちよりも躾がなっていない。つまりガサツなのだが、私はそれはそれで好きだった。激しい遊びをしても怒られないし。


「殿下!子供を投げないでください!」

「えぇ…この子たちが投げて欲しいって。」

「ダメです!殿下が怪我をしたらどうするのですか!」


あぁ、そっちねー。変なところで王女扱いするんだから。

遠心力を利用してくるくる回して飛ばしてあげていた子どもたちは、不服そうな顔をしたが、すぐ違う遊びを提案してくる。


「お姫様!かくれんぼしたい!」

「それ、体が大きな私の方が不利だから嫌だなぁ。」

「姫様小さいからそんなかわんねぇよ。」

「誰だ私のことチビって言ったやつ!すぐ見つけてやるから隠れろ!」


キャーキャー言いながら散らばる子供たち。私は目を閉じて時間を数える。横ではフィオナが「何でそんな子供たちと同じ温度で遊べるのぉ?」と呆れた声を出していたが、無視する。


小さい頃から娯楽を与えられなかった私の、貴重な遊ぶ場所なのだ。見守っておいてほしい。



全員を凄まじいスピードで見つけ出した私は、みんなから「大人気ない」と言われたが、無視して続行する。次は隠れる番だ。


さっき探すときに見つけていた、干草の塊の中に私は潜り込む。そこから出た時に服がどうなっているかは恐ろしかったが、洗えばいいだろ、と短絡的に考えた。遊ぶ時に深く考えるのはよくない。


暖かい干草の中で、少しウトウトしてしまっていた。最近、パージバルのことばかり考えていて、よく寝れていないのだ。


早く事態を動かしたほうがいいのに、どうしても怖気付く。


「はぁ、ダメだなぁ。私らしくもない。」


そう呟いた時、足音が聞こえた。やばい。鬼が来たのかもしれないと、息を潜める。

足音はどんどん近づいてくる。見つかるかと思ったが、足音は真横を通り過ぎていった。


そりゃ、干草の中に隠れているなんて思わないか、と息を吐いた瞬間、また足音がこちらにやってくる。



「あれ…?間違いなく、石はこの辺りで動きを変えるのに…。」



ん…イシ?それにその声…。


私は考える。意味がわからないが、ここにいるのは多分…。


心臓がバクバク言ってる。どうしようどうしよう。ここでどう行動するべきなんだろう。



「え、もしかして…。」



足音が目の前まで来る。私は体を硬くするしかできない。


干草が持ち上げられ、急に明るくなる。顔を上げると目が合った。



驚きで目を見開いたパージバルさんと。




王女が干草の中に隠れえるなんてありえないよね!ごめんなさい!


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