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35.帰還

「クリスティーナ、もう帰って来ちゃったのぉー?真面目ちゃんだねぇ。」


アリシアを無事牢屋に連れて行った翌日、朝から祈りを捧げに来たらターニャがニヤニヤしながら声をかけてきた。


「だって、私がいないと皆が寂しいかなって思って。」

「自惚れんなぁ。」


そう言って肩パンかましてくるターニャを思わずジトっとした視線で見てしまう。今まで気にしたことなかったけど、私のこと王女って知った上でこの対応なのすごいな。



「学校って楽しかった?」

「うん、楽しかったよ。少しの間だったけど、友達もできたし。」

「そっかーいいなぁ。私も行きたい。」

「ターニャ勉強嫌いじゃん」

「えーでも、金持ちの男と出会えるでしょ?私は早く金持ちと結婚して借金返さないといけないからね〜。」

「あぁ…。」

そうか、そうだよね、トラパルト男爵家はターニャの祖父の代での散財が激しく、多くの借金を抱えているんだ。


「こら!そこ!口を閉ざして祈りを捧げなさい!」


神官に怒られて私たちは祈りを始めた。



しかし、集中ができず、ターニャのことばかり考えてしまう。


そうだ、ターニャはお金が必要で、パージバルさんと結婚すれば、その心配はなくなるんだ。


パージバルさんは現在私のこと好いてくれていると思うけど、ターニャと会ったら変わっちゃうかもしれない。そしてそれが正しいのかもしれない。


だって私は入り口を偽ってしまっているわけだし。

それなのに、そのまま好きでいてほしいなんて烏滸がましいんじゃないだろうか。


パージバルさんのことはもちろん好きだ。今だって声を聞きたいな、会いたいなって思う。いつの間にこんなに好きになったのか自分でも不思議だけど、他の人に取られたくないな、って思う。


だけど、本来ならターニャとパージバルさんが結ばれるべきで、私はターニャの場所を横取りしてしまったんじゃないだろうか、なんて考えてしまう。


付き合ってもないのに、不毛なこと考えているのは百も承知だけど。



「殿下!全く祈りを捧げられていませんよ!居残りしますか!?」

「しません!」


集中できていないのを神官に見抜かれてお叱りを受けたので、私は無理にパージバルさんのことを頭から追い出す。


でもなかなか彼は出ていってくれなくて、恋の難しさを私は悟ったのだった。





祈りの時間が終わって私はターニャに声をかける。


「ねぇ、ちょっと一回男の人と会ってみない?ターニャの顔がタイプのお金持ちの人なんだけど」

「え?年はいくつ?私、流石に金持ちでもジジイに嫁ぐ気はないよ。」

「私がそんなやつ紹介すると思ってるの?一個年上の公爵家の人だよ。」

「私が公爵家の人と話合うと思ってんの?」

「私でも話があったし大丈夫だと思う。」

「ふーん。どんな人?」


どんな人、どんな人か…聞かれると困るな。


「私が困っている時は助けてくれたりとか、正義感強くていい人なの。ただ少し弱いところもあって、迷える子羊みたいな。でも、そこも可愛いの。こちらのことをいつも慮ってくれるし、真面目な努力家で、成績もいいし、顔も」

「長い。簡潔にして。」

「真面目クソ眼鏡。」

「え、フツーにいや。」


言葉を間違えたみたい。


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