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13.ストーカー兼王子様

「そんな、恐れ多いですわぁ。」

絶対馬鹿にされるどっか行け!

「俺が王子だからと遠慮なんてしなくていい」

そんな遠慮してねーわ。


私の横に座るお兄様を睨みつける。お兄様はニヤニヤしていた。


「トラパルト嬢、こう見えて殿下は学年テストで1位しか取ったことがありません。」

パーシバルさんの言葉に私はびっくりして、お兄様に尋ねる。


「カンニングですか?」

「カンニングで一位が取れるわけないだろ。」

「じゃあ周りが気を使ってあまりいい点を取らないようにしているんですね。」

「ほとんど満点しか取ったことないから、そう言う次元じゃない。」

「テスト問題を教師から流してもらってます?」

「ほんとお前は俺をなんだと思ってるんだ?」

「自意識過剰ナルシスト…?」


流石に頭をはたかれた。優しくだけど。


言葉が聞こえてなかっただろう、モニカとフランシスカは何事かとびっくりしている。お兄様は女を叩いたりするキャラじゃないらしい。


「王女殿下から、殿下についてそのように聞いていらっしゃるのですか?」

「あ、はい。そうです!」


パーシバルさんの言葉に全力で同意する。私じゃないの、王女がそう言ってたのよ、とアピールするが、正体が分かっているお兄様はジトっとした目で私を見てくる。


「で、どこが分からないんだ?」

「…全てですが、何か?」

「教会でこういった勉強はしないのか?」

「しませんねぇ。経典は暗誦できるんですけど。」

「経典って、あの分厚い本10冊ですか…?」

「はい。どの章か指定していただけたら、そらで言えますよ。」

「記憶力に問題は無しか。それなら、教科書を読め。」

「それをしようとしてたところなんだよ。」

「口調気をつけろ。」


コソコソ言い合っていると、注目を集めていることに気づいた。そりゃ見たこともない令嬢と、この国唯一の王子が近い距離で長々喋っていたら、気になるよね。


お兄様はそういった状況に気づいているのかいないのか、私に耳打ちしてきた。


「窓際に座ってる、金髪ウェーブに黄緑の瞳の女の人わかる?」


私に対するお兄様の口調は少し優しくなる。最初に言っていた通り、学校と家族の前では少し変えているのだろう。私も家族の前だと言葉遣いが悪くなるのでおあいこだ。


金髪ウェーブの女の人…私は見つけると頷いた。


「あれがマーガレット=クレンベール公爵令嬢。」

「確かに胸でか…。」

「今はしていないけど、人目がないときは、机の上に胸を乗っけてるんだよね。くそエロい。」

「なにそれ。そんなところまで見てるの?ストーカーかよ。」


お兄様がドヤ顔する。全く褒めてねぇよ。


「殿下、御令嬢との距離感じゃないです!」

「はいはいごめんごめん。そういえば、セオドアは俺に次いでテストの成績いいから、教えてもらうといい。」

「どうせ、私は万年2位ですよ…。」

「2位もすごいと思いますよ!」


反射的にフォローする私。なんかいつもフォローしてるな…。この人の迷える子羊感すごい。

私の言葉に少し気分が上がったのか、パーシバルさんがすまし顔で私に言う。


「トラパルト嬢、何でも聞いてください。」

「あ、ありがとうございます。」


結局、私は教科書を読むことに終始し、質問をすることはなかった。



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