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ラクダの心

作者: ダイナマイト山村

大学時代に書いた文章ですね。


昔、純粋で心優しいラクダがいた




住んでいる場所は砂漠のまち




昼は熱く灼熱の地




夜は寒く極寒の地




住める者たちが住む




貧しく気高い土地




訪れるものを拒み




離れることを許さない






生まれた子の多くは死にゆく






そんな砂漠で


ラクダは店を開いた




体力自慢の心優しいラクダは




隣まちまで仕入れにいき




砂漠のまちをうるおした




たちまち店は大繁盛




ラクダは心から喜んだ




熱いから団扇がほしい




のどが渇いたから水が欲しい




ラクダは揃えた




寒いから毛布が欲しい




砂埃がひどいからマスクが欲しい




ラクダは集めた






やがてラクダの店は繁盛し




砂漠のまちも豊かになった




昼も夜も快適に






長く長く続いた




永遠と思われた




しかし




ある日




店から商品が消えた




隣まちからも




その隣まちからも品物が消えた




理由などわからない




それでも危機は訪れた




砂漠の住人は不平不満




富める者たちは




なぜ品物がないのかと




貧しき人たちは




おごりのなれはてだと




純粋で心優しいラクダは




みんなの声に耳を傾けた




出来る限り自分の持ち物を分け与えた




それでも続く品不足




ある日とうとうラクダの持ち物はなくなってしまった




それでも心優しいラクダは




みんなの声に耳を傾けた




おなかが減った




ラクダは自分の肉を差し出した




のどが渇いた




ラクダは自分の血を差し出した




寒い




毛皮を




あらゆるモノを切り分けて




出来る限りみんなに配った






とうとう




純粋で




心優しいラクダにはもう




売るものがない




純粋で




心優しいラクダは悲しくて




純粋で心優しいラクダは




ふがいなくて




考えて




考えて考えて考えて




最後に残っているものに気が付いて




うれしくて




うれしくてうれしくて




最後の商品を店に並べた




遠い昔の物語




「ラクダの心はまだ売れない」

ありがとうございました。

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