ベナミス・デミライト・キングその4
今日はいつもより早く起こされた。
と言っても、皆はもう起きているのだが。
奴隷だったころは、これくらい早朝に起きる事など普通だったからな。
習慣が抜けないものも多いようだ。
俺はそんなこともなく、眠れるなら眠れるだけ眠るけどな。
そして、早起きさせられた理由は、もう出陣するためのようだ。
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何故か我々の"奴隷部隊"は最前線に配置された。
元々駐留していた部隊と入れ替わらせられる。
夜の間に、多少の小競り合いがあれど、魔王軍との距離はある。
だが、すぐに命令が下され、進軍が始まった。
戦場での俺の仕事は声を出すことだけだ。
「いいぞジッタ!そのまま倒せ!ヨッツ!ジェクシーを助けてやってくれ!」
部隊の人間は全員名前を憶えている。当たり前だ。家族のようなものだから。
一応言っておくが、俺だってモンスターと戦うことは出来る。
体格には恵まれたからな。"弱いモンスター"ならいくらでも来い。
戦場を支えているのは、やはりダオカンだ。
奴がいなければ、誰かしら死んでいてもおかしくはない。
「ラエイン!そんなに前に出るな!」
そして、若手のラエインは弱い。
俺より弱いんじゃないだろうか?
それなのに、どうして敵に立ち向かえるのだろう?
若さ故だろうが、眩しすぎる。
ふと横を見ると、どこぞの部隊が突出していた。
一体どこの部隊かわからないが、勇猛なことだ。
特に、戦闘で戦っている兵士は随分強いようだ。
遠巻きでよく見えないけどな。
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そうして、俺達はがむしゃらに戦い続けた、その時だった。
おっと、俺は戦ってないけどな。
「おお!見ろ!ウィグランド王が敵本陣を破ったぞ!」
これは、レミトル軍団長の声だ。
少し前から思っていたが、レミトル軍団長の声は"大きい"。
戦場によく響き渡るのだ。
もしかしたら、軍団長に選ばれた理由は声が大きいからなのかもしれない。
なんて考えたら失礼だな。やめよう。
俺だって、人の事は言えないしな。
レミトル軍団長の声を聴き、見上げると、確かにウィグランド王が、敵本陣で旗を持って立っている。
と言うか、思ったより敵本陣が近い事に驚いた。
思ったより戦場を進んでしまったのかもしれない。
俺が、そのウィグランド王の姿を確認したころに、戦場であらん限りの歓声が上がる。
「うおおおおお」
せっかくなので、俺も少し遅れて、歓声を上げといた。
だが、まだ戦が終わったわけではない。
まだ戦わないと。
もちろん戦いたくなんてないし、俺は戦わないが。
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人間軍は攻撃の手を緩めることなく突き進み、ついに砦へと辿り着いた。
我々もこの国には来たばかりだが、説明は受けている。
ここが、敵将が普段いるという砦だ。
つまり、ここが敵軍本拠地という事である。
なんだか、とんとん拍子でここまで来てしまったが、大丈夫なのだろうか?あまりにもうまく行き過ぎである。罠ではないだろうか?
「伝令です。部隊を城まで下げるようにとのこと」
そんな俺の心配をよそに、伝令が届いた。
いいのか?帰っていいと言われたら、喜んで帰るぞ俺は?
そんなことを考えながら、俺は"喜んで帰った"のだった。




