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エンディング

 僕は迷っていた。物理的にではない。精神的にだ。

 迷う内容は色々だ。

 大きい事から、小さい事まで。

 異世界を救うかどうかから、目の前の人々を救えるかどうかまで。

 だけど結局は、ただ友人を救うために動いた。

 

 ピエロの仮面を被ったのは、顔を隠すためだけではない。

 まさに、僕が神の掌の上で踊らされている道化師だと思ったからだ。

 

「さて……」


 グザンの頭が刺さった槍を捨てる。

 魔族の見た目は人とそう変わらない。ただ肌が紫色なだけだ。

 そんな魔族を迷いなく殺すことに、抵抗は"なかった"。

 その理由はわからない。


 もしかしたら、そんなつもりはないのだけど、ゲーム感覚なのかもしれない。

 もしかしたら、この世界に来てから獣や、モンスターを狩って食べていたからかもしれない。

 もしかしたら、元々そういう人間だったのかもしれない。


 そんなことはどうでもいいだろう。

 もう、始まってしまったのだ。始めてしまったのだ。

 これからは魔族を殺して、この世界を救わないといけない。

 

 だけど、やはり迷ってしまう。

 僕に出来るだろうか?


 この体は最強だと言われた。その名に恥じないほど強い。

 だけど、"魔族も強かった"。

 余裕はなかった。


 僕に世界が救えるのだろうか?


「それでも、まずは」


 エニールの元に戻らなければいけない。

 戻って彼らを、人間領まで送り届けないとならないだろう。

 そのために色々と段取りも取ったのだ。


「……」


 早く戻らないといけないのはわかる。

 だけど、意味もなく"うろうろ"する。


「こっちだった……はず……」


 どうにもこの体は迷いやすいような気がする。

 だけど、大丈夫だ。

 日本にいた頃に、迷ったことはない。


 もしかしたら、スマホがあったからかもしれないけど。


「大丈夫」


 僕は歩き出す。

 この世界に来たばかりの時は、あてもなく歩き出した。

 今回は、しっかりと目的と、目的地を持って歩き出したのだ。

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