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エニール・ミーンその10
国を出てから3日経った。
寝ているあたしを勝手に馬車に乗せて、出発したことには怒っている。
でも、ベナミスさんもあたしの為、皆の為にやったことだとわかっているから、あたしは怒れなかった。
それに、あたしが起きたときには、ベナミスさん達はモンスターと戦っていた。
それじゃあ何も言えるわけがないじゃないか。
あたしたちは、アジェーレ王国という国に向かっているらしい。
どこまでが魔族領かは、グザンの部屋で調べたようで、そこから一番危険ではなさそうな道を選んだそうだ。
当然だけど、"彼"とは会えていない。
せめて、行き場所の書き置きくらいは、置いて行きたかったものだ。
馬車から空を眺める。
彼もこの空を眺めているのだろうか?
いつかまた会えるだろうか?
いや、初めて会った時も、突然現れたのだ。
きっと、いつかまた、同じように会えるのだろう。




