アミュス・パメルその4
「えいっ!」
私は魔法陣を作り出し、氷の魔法を放つ。
その氷の魔法は、魔族を穿ち、絶命させた。
「ふぅ……」
魔法を使うのは体力を使う。
私は、疲れてその辺の瓦礫の上に座り込む。
「凄いのですね。魔法使いというのは」
その私の隣に、ウルスメデスさんが座って話しかけて来た。
近くに来ると、なんだかいい匂いがする。
「そ、そうでもありませんよ……」
なんだか綺麗すぎる人を前にすると、私は緊張してしまうのだ。
「いいえ、魔法使いというのは凄い努力をしてなるものなのでしょう?尊敬します」
「それを言うならウルスメデスさんだって歌姫なんですよね。凄いです!」
そんなに褒められると困ってしまうので、私も褒め返すことにした。
「ありがとうございます」
大人の余裕のある返しだ。いや、私も大人なんだけど。
「おいおい、お二人さん。悪いんだけどここ戦場なんだよ。休憩はほどほどにな」
せっかく私がウルスメデスさんと仲良くしていたのに、ベルテッダが割り込んできた。
そう言いに来たベルテッダなんて、最初から全く戦っていないくせに。
「婆さんなんて張り切って動き回ってるぜ」
おばあちゃんは魔法で身体強化をして、まるで歳を感じさせない動きで魔族やモンスターを殴り殺して回っている。
あの姿を見ると、やっぱりまだ学園長はおばあちゃんでいいと思う。
「はいはい、今行きますよ!」
ベルテッダはともかくとして、おばあちゃんの手伝いはしないといけない。
私は、おばあちゃんの手伝いをしに行くために、立ち上がった。
「きゃっ!」
その時、大きな音と共に地面が揺れた。
「なんだありゃあ!」
ベルテッダが指を差す。
その先には、とてつもなく大きい化け物が魔王城の壁を破壊して出て来ていた。
「とんでもないのが出てきましたね」
一度私達の元へ戻って来たおばあちゃんが見上げながら言った。
「ど、どうしましょう!」
私は焦って、皆に問いかけた。
「それを決めるのはあなたですよ、アミュス学園長」
だけど、そう返されてしまう。
「は、はい!それじゃあ倒しに行きましょう!」
ウィグランド軍やエイレスト軍に任せる事も出来る。
だけど、私達だけ逃げる気はなかった。
「あっ!ウルスメデスさんは逃げたほうが……」
しかし彼女だけは違う。
戦えないようだし、何もこんな危険な所にいる必要はないと思う。
「いいえ。私は歌姫ですので、歌を歌いませんと」
私はまだ彼女の歌を聴いていない。
きっと、素晴らしい歌なのだろう。
「だから、皆で力を合わせてあれを倒しましょう」
そして、こんな危険な状況でも、ウルスメデスさんは変わらず大人の余裕を持っているようだ。
「わかりました。それでは行きましょう」
私達は巨大な化け物の元へと向かうのだった。