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オージェリン・ヴァスティーナその4

 別にいくらでも"機会"はあった。

 それは、モルディエヌスを誘惑する機会である。

 でも、今までしてこなかった。

 何故なら、それをする必要がないくらい、モルディエヌスは母親に従順だったから。


 だけど、いつかは"する"必要があるのだ。

 何故なら、私も身籠るべきだと考えているのだから。

 それに、王妃も妊娠していることだし、モルディエヌスも"溜まっている"だろう。

 今が、ちょうどいい機会だったのだ。



     ♦



 いつも通りモルディエヌスの後ろから、お義母様と一緒に口を出しているだけで夜になる。

 そして、いつも通りなら、その日は終わりである。あとは寝るだけなのである。


 でも、今日は兼ねてより計画していた事を実行する予定であるため、これからが本番なのだ。

 夜から本番になること、というのが何かは、言うまでもない事だろう。

 

「それでは今日はこれまでにしましょうか」


 お義母様がそう言った。いつもより少し早い時間だ。

 お義母様にも、今夜することは伝えてあるし、協力だってしてもらっている。


 自分で言うのもなんだが、私も悪い女だが、お義母様ほどではないと思う。

 お義母様は自分の息子を、本当に道具としか見ていないのだから。まさにただの人形で遊んでいるのである。

 

「はい、母様」


 そして、当のモルディエヌスは哀れな事に、そのことには気が付いていないのだ。

 ただ、子供の頃からそう言う風に育てられてきたのだから仕方がないのだろう。

 

 この哀れな人形に、せめて"良い思い"くらいはさせてやるのだから、私は優しいものなのだ。


「それでは、私はこれで失礼します」


 私はそう言うと、モルディエヌスより先に部屋を出る。

 もちろん先回りをするためだ。



     ♦



 部屋の準備は既に終わっている。

 空き部屋に家具を運ばせ、もちろん一番大事な、大きい寝所も用意した。


 そして、部屋に着くと、私は鏡の前に立つ。

 今日の服は、かなり清楚な服である。

 きっと、モルディエヌスはそれにはっきりとは気付いていないだろう。

 しかし、心の底では、どこか物足りなさを感じているはずである。


 この服を私は脱いでしまう。

 モルディエヌスの前で脱ぐか迷ったが、最初から脱いでしまうことにしたのだ。

 

 そして、服の下から現れたのは、下着の体をなしていないような、とても薄い透けた下着が現れる。

 とても扇情的だし、何より私が来ているのだから、更に扇情的で扇情的なのである。


 そして、私はモルディエヌスを待ったのだ。


 城の廊下に足音が響き、モルディエヌスはすぐにやってきた。

 それほど変わらない時間に、部屋を出たのだから当たり前である。


 私は、顔だけを扉から出して、モルディエヌスを呼んだ。


「モルディ」


 モルディエヌスはすぐに私に気づき、近づいてきた。

 全ては予定通りである。


「オージェリン。どうしたの?うわ!」


 私は、近づいてきたモルディエヌスを部屋へと強引に引きずり込み、そのまま寝所へと押し倒す。


「オージェリン……何を……」


 そう言いながらも、私に組み敷かれたモルディエヌスは私の顔ではなく、私の体を見回す。

 この扇情的な格好の、完璧な体を、舐めまわすように見ない男はいないだろう。


「モルディ、わかるでしょう?」


 しかし、モルディエヌスは迷っているのか返事をしない。

 だけど、否定もしないのだ。


「シェラミエは妊娠しているから、最近してないでしょう?」


 そう言いながら、私はモルディエヌスの服を脱がしだした。

 モルディエヌスは抵抗しなかった。


「お義母様も言っていたでしょう。王には多くの子が必要だって」


 更に、服を脱がした体に、私の体を密着させる。

 モルディエヌスの体はとても熱い。


「いいのよモルディ。私に"全て"を任せなさい」


 そして、そう耳元で囁いたのだ。

 もう、モルディエヌスに迷いはないだろう。


 そして、私達は一つとなった。


 それは、朝まで一睡もすることなく続き、その間"ずっと"、私とモルディエヌスは一つに混ざり合っていた。

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