表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
首斬り特待生  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第一章 ようこそ学園島へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/77

第二十九話 はじめての日曜日 その1

 激動の土曜日を越えて、今日は日曜日。

 学生生活初の休日だ。


 カーテン越しに朝陽を感じる。

 僕は膝に布団をかぶせたまま、上半身をベッドから起こす。頭の中にはあのくすんだ緑眼がこびりついていた。


 ミルク売りの男、ベレー帽の男、遺跡に侵入した魔術師の男、

 奴らは全て同一人物だ。


 奴が、学園島に居る。奴が――


「……馬鹿なことを考えるな」


 学園島にどれだけの人間がいると思ってる?

 1人1人、片っ端から調べることは不可能だ。

 奇跡でも起きない限り、僕が例の魔術師に辿り着くことはない。

 復讐なんて――考えてはダメだ。

 僕はベッドに横たわり、布団をかけ直す。


「しゃ、っるる、くん! あっ、そっ、ぼっ!!!」


 ……。

 なんだか、窓の先から野太い声に呼ばれた気がするが、気のせい気のせい。


「しゃ~~るる~~~くぅん!!! あっ、そっ、ぼっ!!!!!」


 これ以上、惰眠を貪れば他の寮生から苦情が来そうだ。

 脳を全力で起こし、カーテンを開けて窓の外を見る。ラントがこちらを見上げていた。制服を着ている。


 窓を開き、引きつりつつも笑顔を作る。


「どうしたのラント? なにか用?」

「しゃーるる。もう傷大丈夫なんだろ?  商業エリアに遊びに行こうぜ~」


 にっこり笑顔でラントは言う。


 商業エリアか。まだちゃんと見たことはない。学園島に着いた時、軽く眺めた程度だ。

 めんどくさい気持ちもあるが、気分転換にはちょうどいいか。一応、ラントは友人だからな。せっかくここまで来てくれたのに断るのは気が引ける。

 付き合おう。


「わかった! いま行くよ!」


 制服に着替え、支度を終える。

 部屋を出て通路を歩き、階段を降りて一階の談話室に行く。


「よっ。おはようさん」


 茶色い髪のお兄さん、寮長が居た。

 寮長の他にも寮生が6人居る。アフロン先輩とリゼット先輩はトランプで遊んでいる。


「外に居るのは友達か?」


 寮長が聞いてくる。


「はい」

「聞こえたぜ、商業エリアに行くんだろ? 楽しんでこい。くれぐれも、遅くならないようにな」

「わかりました。行ってきます!」


 談話室から外へ出る。


「お待たせ」

「おう」


 ラントと一緒に坂を下っていく。


「商業エリアに行くって言ってたけど、なにか目的はあるの?」

「杖を買おうぜ、お前のな」

「僕の?」

「だってお前、自分の杖持ってないだろ? 授業の時も遺跡に入った時も手ぶらだったし」

「杖って必須な物?」

「持ってない奴も居るには居るけど、よっぽどのこだわりが無い限り持っておいた方がいいだろ」

「そっか。ねぇラント、もう1人誘いたい相手が居るんだけど……」


 僕が誘いたい相手の名前を言うと、ラントは露骨に嫌な顔をした。



 ◆



「「ひっ、まり、ちゃん! あっ、そっ、ぼっ!!」」


 声を重ねて叫ぶ。

 僕達は四階建ての豪華な外装の寮の前に居た。まさに貴族のための寮って感じだ。

 第21寮。まだ新しい。

 ここには彼女、ヒマリ=ランファーが住んでいるらしい(ラント情報)。

 寮の入り口扉を開け、ヒマリが現れた。髪はボサボサで、慌てて来たのがわかる。


「ようヒマリ、商業エリアに行こうぜ。シャルルの杖を選ぶんだ」

「どうして私が、下民の買い物に付き合わなきゃいけないの?」

「「言うと思った」」


 ヒマリは僕に一度視線を送った後、頷いた。


「まぁいいわ、行ってあげる。その代わり、私の買い物にも付き合ってもらうわよ。いま、すぐに準備してくるわ。待ってなさい」


 すぐに。と言うには長い45分という時間をかけて、制服を着てヒマリはやってきた。


「ここから商業エリアまでは時間がかかるわね」

「だったらさ――」

「ドラタクは使わねぇぞ! 絶対!」


 空から落とされたのが余程トラウマになっているようだ。


「馬車を使うわよ」

「今時馬車ぁ?」

「馬車は馬車でもユニコーンの馬車よ。魔導車より速度が出るわ」

「ユニコーンかぁ……いいね。面白そう」


 ユニコーンタクシー、略してユニタクにて商業エリアに向かう。

 ユニタクはヒマリの言う通り速く、数秒おきに石かなにかに(つまづ)いて跳ね上がった。


「うわ! これ、転倒したりしないよね?」

「うひょー! すっげぇスピード!!」

「ちょ、ちょっと速すぎないかしら……きゃっ!?」


 ラントはテンションを上げて、ヒマリはあまりの速度に戸惑(とまど)っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ