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忙しい仕事が終わった日の唐揚げとビール

作者: 春乃和音

 今夜は浮かれていた。

なぜなら、やるべきタスクが全部終わったからである。

長かった。

非常に長かった。

そのくせ密度はとても濃いタスクだった。

それが終わったのだ。




 家に帰るなり冷蔵庫をガバッと開ける。

金色の缶を取り出して、プルトップを引いた。

カシュッという音の後ろに、泡がぶつかり合う音が缶の中に反響する。

発泡酒だ。

給料が安い者の味方である。

首を後ろに逸らしながら、口をつけた。

冷たさと共に麦の香りが鼻を抜ける。

口の中に入ってもなお泡同士で喧嘩を行っている。

「……くっ、ふぁぁぁ」

発泡酒が喉を過ぎた後、いままでの疲れが口から漏れる。

頑張った証だ。

だから、今日はちゃんと呑みをしようと思った。

発泡酒は前座だ。




 冷凍庫から唐揚げを取り出す。

この唐揚げは電子レンジで解凍して、すぐ食べられる優れ物だ。

しかし、今回はフライパンで解凍する。

やっていいことなのかどうかは知らないが、試したいことのためにはこうするしかない。

キッチンの引き出しからサラダ油を取り出す。

つまり、油がたっぷりの唐揚げが食べたいのだ。

油がたっぷりとは言ったが、別に普通に料理するくらいの量だ。

冷凍食品を油で焼くと、なんか凄く跳ねそうな気がする。

どれくらい焼けばいいかはよくわからなかったから、とりあえず焼き目がつくくらいにした。

こうして、見た目はジューシーっぽい唐揚げが無事できあがった。




 冷蔵庫から、また缶を取り出す、

だが、今度は発泡酒ではない。

辛口のビールだ。

最近は飲み会にも行ってないため、ビールは超久々だ。

唐揚げを食べながら、ビールを飲む。

想像するだけでよだれが出た。

「いただきます」

まず、唐揚げに手をつけた。

触れただけで箸がぬらりと光る。

口に放って噛んでみると、カリっとした。

皮が若干焦げるくらい焼いてたからだろう。

歯で感触を楽しんだあと、舌に熱い油が落ちてくる。

唐揚げ特有のほんのり肉の味のついた甘い油だ。

どうやら、上手く料理ができたらしい。

もうこれだけで今日は良い日だ。

次に、ビールを喉に注ぎ込んだ。

舌にべったりとついた油が、喉に押し込まれていく。

ああ、頑張ったよな、自分。

タスクを終わらせても誰にも褒められなかった。

タスクを進めてるときは何度も怒られていたのに。

だが、唐揚げとビールが労ってくれている。

ありがとう。




 まあ、明日からも大変なタスクがあるんだけども。

皿洗いをしながら少しだけ気分が重くなる。

だけど、また終わったらちょっと豪華な食事をしよう。

今度はどんな料理、どんなお酒をしよう。

そう考えるだけで、ちょっとだけ未来が楽しみになった。

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