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1話 はじまり

よろしくお願いします

街から少し離れた森の中、小さな家が1軒建っている。玄関の扉が開いて可愛らしい少年が現れる。



「それじゃ、いってきます」


そう挨拶をした相手は美しい女性。いい笑顔で少年を見届けるために玄関先へと出てきている。


「いってらっしゃい。全く、君も大人になったね、最初は...」


と言って涙を拭う...振りをしている。口元の笑みが隠せていないのがその証拠。


「い、今はそんなこといいでしょうっ!」


少年は顔を真っ赤にして女性に突っかかる。女性はごめんごめんと笑って済ませる。


「心配することはないと思うけど、他人に迷惑をかけずに気をつけてね。改めていってらっしゃい」


少年の頭に手を乗せながらそう言い聞かせる女性に、少年は小さくため息をつく。


「じゃあ改めて、いってきます」


「はーい」


少年が玄関を閉めて歩き始める。胸のあたりに翼の刺繍が入った白基調の綺麗な制服に身を包み、大きなカバンを肩に、リュックを背中に担いでいる。肩のカバンにも、制服と同じ翼の刺繍が入っている。

その目には...黒い布が巻かれていた。


「頑張ってね...そしていつかきっと...ううん、なんでもないわ」


女性は、小さく呟いたが最後まで言い切らずに頭を振って今の考えをかき消す。


「さて、私は朝ごはんがまだだし、朝ごはん食べましょ!」


といって意気揚々とキッチンへと向かっていった。






「よし、ようやくこの日が来た...もうちょっと早く入学したかったんだけど...」


入学の速さに関して、少年は不満そうにそう呟く。が、少年の入学年齢は後述するが、異常である。


少年が入学するのは、『アールド騎士学園』。明日が入学式である。翼の刺繍が入った制服とカバンも学園指定のものである。

カバンとリュックがパンパンになるくらい荷物が多いのは少年のでてきた家からは学園が遠いため、寮で生活することになるからである。

それだけではなく、心配した女性が沢山詰め込んだからでもあるが。

『アールド騎士学園』とは、この国を守る騎士を養成する学校で、5年の課程を修了した時点で一人前の騎士として扱われる。

今年は、10歳という低い年齢にしてこの学園に入学した初の学生が2人いるのだが、そのうちの1人がこの少年である。

騎士という職は責任が重く実力も問われるため、入学の時点からある程度の知識、実力や倫理観が問われる事となる。だがそれ以外に入学の枷となる物は一切無い。


よって、いくら年齢が低かったり身分が低かったり、逆に年齢や身分が高かろうが、関係なく平等な入学が可能である。


ただし、入学生が500人なのに対して卒業生は250人程度。残り250名は進級出来ずに退学、または厳しい学業に耐えられずに辞めていく。1部ではあるが訓練による死亡者もあるのだ。

それでもこんな厳しいところに入学するのは、何らかの理由で騎士になりたいという強い「意思」があるからであろう。


そんな話をしている間に少年が森を抜けて平原に出ている。学園のあるこの国、『インペアル』の王都への舗装された道に差し掛かっている。ここまで来ればもうすぐそこである。


この国についても少し触れよう。

『インペアル』世界最大の王政国家である。

魔族との争いが最も多い国であり、技術、学問、芸能など様々な発展が他の場所よりも進んでいる。まさに人間国家の『最前線』である。

この国では様々な人種が暮らしているが、人種による差別がない訳では無い。わかりやすい部面としては、住む場所や人種による国からの支援差がわかりやすいだろう。

国が差別を先導している訳では無いのだが、昔の名残というものはなかなか消えないし、国の方針を簡単に変えるのも、民の先入観を変えるのも、宗教の方針に逆らうのも、すべていつの時代も難しいのである。


この国は宗教国家だとも言える。唯一神、継いで唯一神に仕える聖女の教えを信じる『神意教』を信仰している国民が7割を占める。

国がこの宗教を大事にするのは当然のことだ。支援や教会が様々な場所に建設されている。


あ、そうそう。個人的な意見なんだけどこの国や魔族の国『ディレグライ』って...


おっと、そんな話をしていたら少年が王都の門に着く。光のないその目でしっかりと王都の方を見つめている。

あとは門の前で入場待ちの列に並べば入ることが出来る。いつにも増して凄い列だねぇ。商人や鎧を着た人がたくさんだ。




さて、ここからはもう、僕の出る幕じゃないね。


レイン・カーライト。あとは君に任せたよ。僕の力を授けたんだ、だから君ならきっと。





━━━神をも殺せるさ━━━━


ありがとうございました

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