第1話(仮)
軽度のうつ病にかかった
まだ大丈夫だと思っていたが、限界だったらしい
時には涙を流した
表情はピクリともしなかった
日々が辛いと感じる様になり、誰かへ話す事でストレスを少しでも紛らわそうと思った
自分の為に人を使う事が後ろめたかった
悩んだ末、それなりに親しかったクラスメイトA(仮称)に相談する事にした
それなりに理解を示してくれたが、あくまで「それなり」だ
「でももっと辛い人が居るんじゃない?」
その一言がストレスを加速させた
今でこそ自分勝手で申し訳ないと思うことが出来るが、そもそも「人の事を気遣う」事は優しさが無ければ出来ない事だ
そして「優しさ」とは心の余裕が無ければ生まれないもの
当時の私にはそんな余裕は無い
「自分の事で精一杯なのに会ったこともないヤツを気遣う?」
できるはずがなかった
どうして目の前で苦しんでいる者を無視して、見たことも無い他人を気遣うのか、全く理解が出来なかった
その瞳は、私を見ているのに私を捉えていない様に感じた
自分とは別の生き物の様に見えた
途端に全てが歪んでいる様に思えてきて吐き気を催す
その日から私は心を閉ざした