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探索

私達は、魔物が通った跡がある道を進んでいた。元々は、草木が覆い繁っていたであろう場所も枝は折られ、葉や花は散っている。緑色の葉っぱの上には補色の赤色が点々と落ちており、禍々しいものを感じる。その上を私達はざくざくと音をたてて進んでいた。


「イリス、結界張ってくれる?防音のやつ。」


ローズが言った。


「いいけど。防音だけでいいの?物理耐性とか認識阻害とか」


「あー、じゃあ、見えるけど、よく見えない感じでお願い。」


「ん?…結界に陽炎っぽいのをいれるってこと?」


「うん、そゆこと。全員にね。」


「わかった。」


私はローズに言われた通り、私とローズ、ヒューリッヒさん、アルフレッドさんに結界をかけた。


かけたのがわかったのか、ローズはにこぉとして、ヒューリッヒさんに問いかけた。


「さぁ、説明してもらいますよ。なんで、私達だけで来たのか。普通はピアーダであったことであるスタンピードの調査にロッゼフィードの私達だけでいくのはおかしいですよね?そう思いません?ヒューリッヒさん?」


それは私も気になっていた。なんで私達だけなんだろうって。


「それは俺も気になっていた。どういうことなんだヒューリッヒ?お前なら意味もなくこんなことはしないだろう?」


アルフレッドさんがローズに賛同する。ヒューリッヒさんは苦虫を噛み潰したような顔をした。


「…まさかこの事を聞くためだけに、イリスに結界を張らせたのか?」


「違いますよ。足元の音がうるさかったので、見つかったら危ないなって思たんですよ。」


絶対嘘だ。ローズなら、森にはいる前に結界を張らせる。しばらく森を歩いてからなんてことは絶対ない。


「…本音はどうなんだ?」


「ヒューリッヒさんのいうとおりですよ。私が魔物を倒した後、魔石を持っていったとき顔色がこわばってその後、私達だけで調査に行くって言ったんですから何かあると思っていたんですよ。」


「それを聞いてどうするんだ?」


「どうもしません。ただ、私の経験上知らなくて後悔したことはあっても、知って後悔したことはないから聞いたまでです。好奇心とかではなく、知らなくて対処できないなは嫌なので。」


ヒューリッヒさんは、私達をぐるりと見渡した。私達それぞれの目を見た。きっと、アルフレッドさんもローズも私も同じような表情をしていただろう。そして、諦めたようにこめかみに手をあてて、深く息をついた。


「…確証はないが、このスタンピードは人為的に生み出された可能性がある。」


ヒューリッヒさんは絞り出すようなかすれた声で言った。


「…は?」


私はヒューリッヒさんの言ったことを理解するのにかなりの時間を要した。そんなことできるわけない、できてほしくないという葛藤があったのだと思う。言葉は聞こえているのに、理解ができなかった。


それでも、ヒューリッヒさんは続けた。


「大体おかしいと思わないか?溢れ出した魔物があり得ないほど迅速に砦まで到達し、挙げ句のはてに砦から町に入る門2つめがけて迷うことなくたどり着いたんだぞ」

        

「指揮官となる魔物がいた可能性は?」


アルフレッドさんがたずねた。


「私もその可能性も考えた。が、ローズが持ってきた魔石を見て確信した。今回の魔物の魔石は総じて純度が低い。」


魔石は宝石と同じように純度が高いものほど効果になる。魔物本体が持っている魔力やなどに比例して大きさや純度が変わる。魔力が高ければ高いほど純度が高くなり、体が大きいほど魔石が大きくなる。


つまり、その理論でいくと今回の魔物は総じて魔力が低かったことになる。


が、ヒューリッヒさん言葉には先があった。



最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。

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