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布団ほど魔力を持つものはないと思う

お日様の香りがするふわふわの布団。


使い慣れた、ちょうどいい高さの枕。


……最高!


もうね、ここから出たくない。地球では、人間は7日ずーっと眠っているのは不可能だって言われていたけど、今ならできる。むしろ、ウェルカム。


…といっても、もうすぐ来るんだろうなぁ。


「イリス!起きなさい。」


…ほらきた。


ガチャーン。バターン。と素晴らしい音をたてて部屋に入ってきたのは、幼馴染みのローズである。癖のない金髪に、空の色をくりぬいた、アクアマリンのような瞳をもった可愛らしい女の子。言動を除けば。


「…後、ご、じゅっぷん…」


「長い!普通は、5分とかもっと可愛らしい時間でしょ‼」


「寝れない、うるさい…」


そばで大きな声で叫ばれるとうるさい…。


…勘のいい人はもうわかっているだろう。私、イリス・ノーツは転生者だ。

転生前から低血圧で朝に弱かった。小学校、中学校、高校、大学、学生時代を過ごした学校と言うものを選ぶ基準は常に近さ。どれだけ、家から近いかが大切だった。ここ重要!テストに出すよ!…テストはないけど。だけど、盲点だった。大学のキャンパスが教養の時に実家から離れていることが。まぁ、仕方がないから頑張るしかないかなって思っていた矢先、私は死んだ。乗りたくもない満員電車を待っているとき、何かにあたってホームから落ちてしまったのだ。


暫くしたら、私はなにもない真っ白な空間にいた。

そう、ラノベでお決まりのやつ。


「残念ながら、あなたは亡くなりました。本来ならば、もっと寿命が長かったはずなので、転生していただきます。転生特典は何にいたしますか?」


転移テレポートでお願いします‼」


「転移…。大きく言うと魔法と言うことですか?わかりました。セカンドライフを楽しんでください。」


そして、私は転生した。地方公務員のような仕事をしている家庭に生まれた。ウェーブのかかった銀髪に紫色の瞳をした女の子に。父の仕事は転勤がある。ちょっといい役職につくまで、色々な町を転々とした。落ち着いてきたころに仲良くなったのがローズである。利発的な女の子で、前世で言うと生徒会長をやっていそうなタイプの女の子。たぶん、ローズがいなかったら、学校も卒業できなかった気がする。私は、現世でも朝に弱いから。そこそこ?だいぶ?成績がよかったため、冒険者ギルドの受付として就職予定である。ギルドの受付は実技、理論ともに優秀でないとなることはできない。私は前世がある分有利だが、ローズは非常に優秀なのである。つまり今日が、初出勤日である。ギルドの職員にこのような地方都市から二人も出たことはないため、結構注目されている。つまり、遅れることはあってはならない…のだが。それがなくても遅れない方がいい。


「ちょっと、イリス!寝ちゃダメでしょ‼早く着替えてよ!」


そう、遅れないためにローズがきたのである。ギルドの制服を着て。


「大丈夫だよ。ここはギルドの寮だから」


「大丈夫じゃないからきたのよ!髪寝癖ついてるから!起きなさい‼」


べりっと布団を剥ぎ取られた。


薄々気付いた人もいるのではなかろうか。そう、イリスがギルドに就職したのはこの寮があるためである。ちなみに、寮は5階建てで一階がギルドと食堂に2階が応接間や会議室3階より上が移住区域なっている。


渋々起き出して、イリスは支度を始めた。顔を洗って、歯を磨いて、髪を整える。制服に着替えて、ローズの方を向いて一言。


「さぁ、ローズ。朝御飯を食べに行こう?」


「…相変わらず、そのスイッチの入りかたは尊敬するわ。」


そう、こんなにだらしないにも関わらず、周りの人たちに優秀と思われているのは、この分厚い猫を被っているからである。

最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。

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