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10. 後日談

 それから数日後、キャンパス内を楓ちゃん達と歩いていると、太郎ちゃんが綺麗な女性と談笑しているのを見かけてしまった。


「楓ちゃん、ちょっと……」


 と、私が言いかけると、


「ほら、行ってこーい」


 と、楓ちゃんが私の背中を押した。


 女子四名の笑い声を背中に受けながら ――私、そんなに笑われることしているかな?―― 私は二人に近づいた。


「太郎ちゃん」


「よっ」


「あなたは……橘さんだっけ?」


 その綺麗な女性は、よく見るとオカルト研で以前説明してくれた先輩であった。私の名前まで、よく覚えてるな。


「あなた達、もう入るクラブは決めたの?」


「はい。合唱団に入りました」

 

 私は答えた。


「あの呪文の研究はそのあと進みました?」


 太郎ちゃんが余計なことを言い出した。


「ぜーんぜん。たぶんあればガセね。この分野の情報は大半そうなんだけどね」


「実はそうでもないんですよ。こいつ……」


 太郎ちゃんが私を指さし、つまらなことを話し出しそうになったので、私はとっさに手で太郎ちゃんの口をふさいだ。


「余計なこと言わないの。あ、なんでもない、なんでもないです」


「いいわね、仲が良くて。あたしもあなたみたいな素敵な彼が欲しいな」


「そんなんじゃないです」


 ……いや、なくもない……のかな?


 とにかく、私が竜を倒した後、こちらに帰ってくるまでが大変だったのだ。マリーさんの友達はみんなおしゃべりおばさんばっかりだったらしく、誰が竜を倒したか、という話は瞬く間にバッと広がり、最初はトミーさん一人が私達に「帰らないでくれ」と言っていたのが、帰らないでおじさんが一人増え二人増え……


 ……しまいには街の代表と思われるエラそうなおじさん達が、どんな好条件でも出すからと、私みたいな小娘に土下座まで始める始末。


 二人で相談させて欲しい……と、相談するふりをして二人でトラックに乗り込み、ドロンとこちらの世界へ戻ってきた次第である。


 もう一度あの世界へ飛んだら、どんなことになってしまうか判らない。


「じゃ、あたしは約束があるから」


 オカルト研の先輩が手を振った。


「失礼します」

「失礼します」


 私達はそろって頭を下げた。


 楓ちゃん達が向こうで私達を手招きしていた。


「太郎ちゃん、暇だよね。私達とお茶しよ」


 私は太郎ちゃんの手を引いた。


「いや、暇では……」


「あんたは自分の彼女が一緒に居たいと言ってるのに付き合えないと?」


「……いいけど、あいつらと居るときは太郎ちゃんって呼ぶなよ」


「ヤダ」


 私は太郎ちゃんに舌を見せた。あれ? 私ってこんな性格だったっけ?

 一度完結を宣言した小説に書き足しを行うことをお許しください。時間が経って改めて本作を読み直してみると、どうしても尻切れトンボでしたので10節を書き足してしまいました。


 また、元々9節のあとがきに完結の挨拶を書いてあったのですが、これがあると10節の意味が解らなくなってしまうため挨拶文は削除しました。


 改めまして本作を最後まで読んで頂いた方、ありがとうございました。


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