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どこかの廃墟
「おい。本当にちょろい仕事なのか?」
大男が言う。
「あぁ。娘の為に莫大な金を使って、そして、娘は、ほとんど一人で過ごしている。こんなのいいカモだろ」
「そいつは、いい」
「楽な仕事だぜぇー」
「本当それな」
数十人が口それぞれに思いを言い、へらへら笑う。それを見て、さっきまで説明していた者の顔が険しい表情になる。
「部下の教育ぐらいしっかりしてくれよ。ヘマされたらかなわねぇぞ」
大男がなだめながら言う。
「まぁまぁ、落ち着けって。こんな簡単な仕事、誰がミスするって言うんだよ」
その通りかも知れないが不安で仕方ない。
「…行動するのは鍵とカードの複製が出来てからだぞ。それまでは大人しくしといてくれ」
「はい、はい。大人しくしときますよ」




