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第43話 会えない③
お姉ちゃんが来た。
「ど、どうしたのお姉ちゃん?」
「弟がピンチっていう気配を感じたのよ」
えっ。なにそれ。流石にちょっと…。
「冗談よ。お母さんに学校から電話がかかってきたのよ。それで、学校から抜け出していった優希の様子を見てきてってお母さんに言われてきたの。それでなんで学校を抜け出してきたの?」
「…お姉ちゃん。一生のお願いがあるんだけど…今から空港に連れって行って!」
「(…優希がここまで必死になっているのを見るのは中学三年の時以来。なら、桜井さん関係かな?)」
お姉ちゃんは少し考え、車のドアを開けた。
「早く乗って。時間がないんでしょ」




