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ヒュプノスの葛藤  作者: Kuroha
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オネイロスの悪戯

 正夢というものをご存じだろうか。正夢とは、見た夢がそのまま現実となって現れるというどこの誰が考えたのか知らんが、誠に浅はかで現実にあるとは思えない代物だ。勘の鋭い方ならお察しかもしれないが、「思えない」と書いたのにはそれなりに訳があるわけであって、それこそ、全く適当に言った訳でないことをここに断っておこう。

 というわけで遡ること数時間…






 いつも通り煩わしい目覚ましで目を覚ました。そのうるささにクレームを付けたくなるものだが、このぐらいでないと起きれないのは事実。自分の不甲斐なさにクレームを付けるべきである。

 今日は一週間の真ん中水曜日。無論学校はある。現在時刻は6:40。私鉄で横浜駅まで出てからJRに乗り換えるわけだが、この分では別に急ぐ必要はなさそうだ。

 




 横浜。横浜。JR東海道線。横須賀線。根岸線。京浜東北線。京急線。東急東横線。みなとみらい線。横浜市営地下鉄ブルーラインはお乗り換えです。

 全くえげつない量の乗り入れ路線である。おかげで迷路のごとく入り組んでいるこの横浜駅も、そろそろ目をつむっても乗り換えができそうである。

 よもや本当に目をつむっていたわけではないが、機械的にJR改札前につくと、遅延20分の表示が出ている。

ー藤沢駅での人身事故の影響で上下線に…

 その時、何かが弾けるように鮮明な映像が脳内スクリーンに映し出された。

 そこには、一人の女性がふらふらしながらホーム上におり、その時ハッとした。今朝全く同じものを俺は夢で見ていた。確か、横浜通過の通勤快速が走るところにふらつきながらツッコむという大層な夢である。

 妙な胸騒ぎがし、俺はホームへと駆けあがった。イヤなことに、電光掲示板には通過列車の表示が出ている。

 夢の記憶を頼りに、ホームの端へと人混みをかき分けて走り出した。






 見つけた。フォークダンスのようにふらついている女性。まさしく通過列車が来ようとしているすんでのところで、俺は女性の手を掴みたぐり寄せた。

 全てを置き去りにするように猛スピードで通過する通勤快速。夢の出来事が鮮明に思い出され、反吐が出そうだ。

 流石に女性も酔いが覚めたのか、申し訳なさそうに俺を一瞥すると、俺の手に紙を握らせた。それから一言。ご迷惑おかけしました。というと、東京方面の電車に乗り込んでいった。




 これが偶然であると思える程、俺の神経はおかしくなってはいない。学校に着き、時間が経つほどに、どうも偶然には思えず、これは始まりに過ぎないというように思えてきた。





 




 

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