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子育て?超越者(ヒュペリオン)  作者: 樽腹
第四章 超越者
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第35話 数時間後の再会

Tips


{【兵法(strategy)】}


分類:権能記述


兵...則ち戦に纏わる概念と想念を現す権能記述。

神速を尊び、愚鈍を嫌う。

その在り方故に浅はかな者は意味を違える。

結果を追い求めて過程を軽視するそれは人の性か。


例えそれが偽りであろうとも、机上の空論をいとも容易く成し得てしまう。


一対一から多数対多数まで、全次元の戦いに連なる全てを現す。

昔を知る超越者は、その在り方を問わずこの記述を只々恐れた。

知恵者、先の時代を知る者、軍に携わる者にこの記述が届かぬよう祈りながら...


──特に、『悪』を成す者だけには絶対に渡してはならないとされている権能記述。



俺達はみんな困惑した。


さっきまで仲間だった者が、急に敵であるかのように警戒心全開で敵視しているからだ。


「...ココ、一体どうしたってんだ?」


特に親であるワンダさんのショックが大きい。


「お父ちゃんはこっちに来て!!良いから早く!!!」

「なんだってんだ...一体──」


そして言われるままにココの側までやって来ると、


「あ」

「ワンダさん?」


まるで答えを得たかのような、「あ」だった。


「あー...あー...うぅん、まじかあ」


ワンダさんが困ったようにイルダナフさんの様子を伺う。


「むぅ...」


紅い帽子を深く被り直し、困ったようにかぶりを振る。


え?いったいなんなの?


「ねえ、あんた...エアさまは?」

「先程神界に帰られました。抑止力として復活する為に」

「くっ、まだ此処に居なさいよね...!せめてこいつをどうにかするまで!!」


それはわがままってやつだ。

ココはまるで親の仇でも見るかのように、俺を睨み付けている。


「一体なんでしょう?」


俺はその場から動かず、彼女をなるだけ刺激しないように話しかけた。


嫌われてるのは始めから分かっている。


「今日死ねって突然言われて、死ねる?」

「無茶言わないで下さいよ」

「そうよね...でも、あんたは今死ななきゃならない」


「おいおいおい」死んだわ俺...じゃなくて!



嫌われてるのは分かってるけどこんな明確に殺意を抱かれるとは思ってもみなかった。


思わず一歩踏み出せば、


「動かないでって言ってるの!この子がどうなっても良いの!?」


震える腕で俺から遠ざけるように、ステラを抱き直して叫ぶ。


その台詞には余りにも説得力が無かった。


逃げ出さないように配慮することも無ければ、負担を掛ける事もない。


ただ普通に抱いているだけで、短剣を突き付けるとかそんなことすらしなかった。


「くぁ......」


ココの震える腕の中で、ステラが欠伸をする。


おまえ呑気だなあ...


でも、安全だって最初から分かっているのだろう。


この()は俺に対する殺意だけは高いが、友達や守ろうとする者だけは絶対に傷つけない。


ああ、でも...


震え方といい、覚束ない視線といい、余りにも余裕が無くて分かった。









俺がやった事を見ていたのか。






「ココちゃん...いいの」「わん!」



ココとイルダナフさんの後ろから、聞き覚えのある声がした。


この世界に来て初めて出会った家族と、

この世界に来て初めて出会った女の子。


「駄目!!あいつに近づいたら殺されちゃう!!」

「困らせたら、駄目だよ。この子達だって、タリオンくんのとこに帰りたがってるから」


誰かが、ラヴィネと一緒に其処に居る。


でもステラは...あ、自力で腕から出てイルダナフさんとこへ飛び移ったか。


肩に乗せられて、よしよしされてる。


気がつけば、狼達が座って首元を掻いてその場に寝そべり始めていた。


戦いが終わって軽傷だらけの蛇に、使い終わった傷薬の瓶を逆さにして叩いて微量ながらも振りかけるハイオーク達。


ラヴィネの両親がゆっくりと歩いて俺のそばへ。


こつこつと手の平に頭を差し出してぶつけて来ている。




...なんかもう、緊張感が一気に薄れてるな。


見ればラヴィネがその人の周りをちょこちょこと動き回っては服の裾を噛んで、ぐいぐいと引っ張って居る。


俺の方へ。


「だ、駄目だったら...!ぁ...」


ラヴィネに引っ張られて、ココの後ろから出て来た彼女は...




濡羽色の髪に、浅黒い肌。



透き通るような蒼い瞳はそのままに。



可憐な唇を震わせ、長い睫毛に微かな涙を湛えて真っ直ぐ此方を見つめていた。



豊かな胸。華奢で細い腰。



そばかすが無くとも、眼鏡を掛けてなくてもはっきりと分かる。



間違いなく残っている彼女の造形(すがた)が、声が、


俺の中にある彼女と余りにも似ていて...



その豊かな頭髪から突き出るように伸びた長い耳が、






彼女を人ならざる者たらしめる証になって──




「...ルンナさん?」


俺の口から漏れた言葉に耳を揺らして


「...はい」


え?



ええええええええ?


(´ω`)ここまで読んで頂きありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ストーリーや文章がしっかりしていて主人公も魅力的だと思います。 [気になる点] なのにココの存在で台無しになってるのがすごくもったいないです。 [一言] こういうどうしようもないキャラは必…
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