第21話 新参者
「応!!!」
記憶の世界から解き放たれ、掛け声と共に現世へ降り立つ。
燐光を纏い、やって来たのは鋼の板金鎧に、サーコートを身に纏い。
身の丈二メートルを優に越す、堂々たる偉丈夫。
オーク将軍の首領が、その身を揺すって大地に降り立った。
既に牢鉄の大剣を抜いて、肩に担いでいる。
「頼む」
たった一言。
「任せろ」
それだけを交わして。
俺に背を向け、壁の向こうに居る翼竜目掛けて猛然と駆けていく。
「──【再誕】!」
「ふごっふ!」「ギギッ!」「ぶふぅ!!」
首領に次いで呼び出したのは、掠殺に生きたハイオークの散兵だ。
残念ながら、三十名を一気に呼ぶ事は出来ない。
召喚された数名のハイオーク達は、咆哮を上げる翼竜を目の当たりにしたにも関わらず。
瞳に宿した闘志を絶やす事なく、現世に降り立ち武器を構えた。
「その様な雑魚共で私の翼竜がどうにかなるとでも思ったか!?」
すでに閃光弾の効果は薄れ、視覚と聴覚を取り戻したソイツが、牙を生やした口を大きく開けて此方に向ける。
首領を援護する為に、召喚した直後から壁を迂回する最中。
後を追うように俺へ口を向け続けるその奥で、陽炎のように揺らめく炎が垣間見えた。
「薙ぎ払え!!」
キリルの言葉にも意を介さず。
彼等はカイトシールドを片手に、トマホークと投げナイフを持って構え。
「「「ふごっ!!」」」
一斉に投げつけた。
(ドスッ!ドスッ!ザクッ!)
たちまち投げナイフが翼竜の顎に、喉元を覆う鱗を貫き、あるいはトマホークが鼻へ深く食い込んだ。
衝撃で、翼竜の頭が後ろに弾かれる。
──配下のオークを強化する 首領の力だ。
「!ク、クッ!──【再生】!!」
キリルが、援護の為に手駒を呼ぶ。
マナにはまだ随分と余裕がありそうだ。
すでに首領は一足飛びに飛び上がって壁に足を掛けて居る。
記述、鮫、壁、翼竜、新たな手駒の召喚。
次の手は...
この記述を使うなら、此処か。
俺はハイオークの散兵に指示を飛ばすと同時に、次の一手を読む。
仲間が俺の意図を汲み取り、逆方向から迂回する。
「{【鍛冶場】}──」起動。
敵の傍に召喚された無数の骸骨兵を尻目に、首領が足に掛けた壁から一直線に翼竜へ飛びかかった。
「オオオオオ!!!」
キリルが鎌を持つ手とは逆の手に何かを取り出し、空中の首領に向ける。
その形、その用法...間違い無い。
手に持ったソレの撃鉄を引き起こし──
「死ね!!」そりゃあ困る。
──【がらくた】
「なっっ!!?」
彼の手に持ったモノが形を失い。元となった部品が現れ、指の間からこぼれた。
(ザン!!)
キリルの銃だったものが地面に落ちると同時に、頭を断ち割られら翼竜が地に倒れ伏した。
「ふっ!」(ドスン!!)
翼竜を倒して地面に着地すると同時に、死体から飛ぶように離れる首領を睨みつけ。
キリルは傍に控えていた手駒に命令を降す。
「貴様!!知っているな!!?」
支配空間からギルド謹製の鉄の矢を数本取り出し、弓に番えて引き絞る。
一発あたり千円のお高い矢だ。
「だから言ってるだろ?」
俺と首領から後ずさるキリルを守るよう。円形の盾を構えて隊列を組む骸骨に、横からハイオークの散兵が襲いかかった。
「当ててみろよ」
v(´ω`)vおみくじ大吉いぇーーーーい!
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