第21話 事情を話そう
この際あんたの事情を全部説明しなと言われ。
「いったい何処から話して良いものか...」
俺は周囲に人が居ない事を確認してから。
...自分の事と首領オーク達が現在居るあの世界を除いた全てを包み隠さず話した。
爺ちゃんとの10年。学んだ狩りの知識と技。
爺ちゃんが死んでからの出来事。
砦での戦争。
ラヴィネとの出会い。
狼の群れの壊滅と、首領オーク達との争いによるハイオーク達の根絶。
二週間森の中の拠点で暮らした事と、地面を整地してからコンクリートの土台を作って建てた丸太作りの拠点。
そこから街を発見して、此処まで目指してやってきたこと。
幻獣リンクスの家族と、捨てられたステラとの出会い。
湖の野営で大蛇を二匹仕留めた事。
そして、ルンナさんと出会って熊を仕留めた事までを全て話した。
勿論首輪のエピソードも含めて全てだ。
ただ、あの世界については上手く話せないし、地球からの転生?や記憶の統合も話したところで正気を疑われるだろう。
蛇に関する事も含めて上手く誤魔化したと、自分では思ってるが...
二人は俺の拙い語りに関して一切口を出さず、ただじっと俺の話を聞いていた。
二匹は魔石も食べ終わって、互いに寄り添って寛いでいる。
ラヴィネがうとうとしだしたステラの身体を自分で支えながら毛繕いをしていた。
...写真が欲しい。
「──じゃ、じゃあここ、っこの子は...!」
「幻獣だというのかい...」
ルンナさんが口元に手を当てながらも小声で驚き。
アルナさんが目を見開いてまじまじとステラを覗き込んだ。
「アルナさんには申し訳ないと思っています。だけど、この子が幻獣である事は隠さなければならない」
無力に等しいこの子達が悪意をもった連中の関心を引いた場合。
守り抜く手段と力が今の俺にない事ぐらい、自分で痛い程解っている。
この世界の知識とこの国の法律。
山や森以外で、社会人として生きる為のルールやマナー。
生きる為に必要な物資と薬、やりたくはないが時に無理を通す人心を買う為の金。
魔法と...そして何よりも力だ。
「本当はこっそり入り込んで金を作って、情報と物資を買い揃えてこっそり拠点に帰るつもりだったんですけどね...」
「まあ、無理だって言われたあとだからねえ」
山賊や追い剥ぎみたく人から物と金を奪って生きたいわけじゃない。
ステラの目を治して、二匹が立派に成長するまで人から離れて居たかった。
...アインさんの説明で無理だとわかったけど。
「だから自分達は、お二人に縋る他ありません」
俺は二人に頭を下げた。
「お願いします。俺に文字とこの世界の事、それに魔法の力を教えてください」
身元を保証してもらった挙句にこのお願いは図々しい事だと理解している。
二人にはこの街での生活と仕事がある。
断わられれば別を探すまでだ。
「坊主の事情は良く解ったよ...成る程クソ餓鬼がこっちに投げる訳だ」
老婦人はため息を吐いて頭をかいた。
「?」
「いいんだよ、こっちの話さ...それより坊主はあたしの孫の命の恩人だ。この街に住む場所と文字に魔法...全部与えてやろう」
「ありg「ただし!」
俺の礼を遮るようにアルナさんは続ける。
「それをやるにはちょっと、貸し借りの辻褄が合わないからねえ...あんたにはあたしが会長を務めるこの街の錬金術師協会の──ひいては、あたしとルンナ専属の狩人になってもらう」
「...専属?」
此処で俺は役場での出来事を思い出していた。
ラヴィネと遊んでいた親子の、親の言葉。
確かにアルナさんてこの街では偉い人っぽいのだけど。
...御付きってそういう事なんだろうか?
ん?
ルンナさんと目が合って。
...真っ赤な顔で、目を逸らされた。
え?な、なに?
そして何故ステラは喉を鳴らすの?
「ほっほっほ...なあに、難しい事じゃないさ。その辺の話は今からギルドでしてやろう」
『チリンチリン』
勘定を計算する機械などない為。
この世界では食べ終えてから店員を呼んで精算するらしい。
木板に伝票らしきものを持った店員が此方に走って来た。
「そろそろギルドに熊が届いてる頃だろう。こういうことは全部いっぺんに済ますに限る」
懐から取り出した財布と思わしきものから支払いを済ませる。
「あたしゃ面倒が嫌いなんでね...ギルドへ行って必要な用事を済ませたらそのまま帰るよ」
やはり俺が食った金額が一番多かった。
──だって、肉から飲み物まで全部大盛りだもの。
(´ω`)風邪が治ってきた
此処まで読んで頂きありがとうございナス!




