プロローグ3
まだツールがよくわかんない...
...夢を見た。
それは、誰かの十数年に渡る軌跡。
ある山奥で泣く、小さな子供が一人。
捨てられたのか親は居なかった。
頭は頗る悪く、喋れば吃り、字すら書けない。
側に居たのは、親代わりの年老いた狩人が一人。
口は悪いが、とても優しい男だ。
髭面が災いして、ニヤリと笑うその姿が山賊のようで。
その悪人面の笑顔が、彼の人生の最初の記憶。
年老いた男は自分の持てる技術と知識の全てを、捨て子に惜しみなく注ぎ込んだ。
弓矢と山刀の扱いに始まり。
ナイフを使った獲物の解体、血抜きと腑分け。
薬草と毒草、食べられる野草と菌類の知識。
動物の生態知識、山と森の違いとその生き方。
野営と水の確保に保存食の作り方。
さらには生まれ育った山と森の地図は、その細部を全て詰め込まれた。
忘れてはならない、人類の敵である魔物との戦い方と知識も。
弓と山刀の扱いと魔物との戦いは教えてたった数年で老人の腕に並び、追い抜いた。
恐ろしいまでの身体能力と、武の才能があった。
特に筋力はすさまじく、山のように大きな熊を素手で殴り殺し、持ち上げて悠々と歩く程だった。
老人は少年の為に、今迄に貯めた金を全て使って、鍛冶職人のドワーフと弓を作る獣人に依頼した。木材と金属と魔獣の素材を合わせて作った特注の合成弓を少年に授けた。
だが知識と経験はそうはいかない。
少年はとても頭が悪かった。
それでも老人は根気よく丁寧に少年に教え、少年は老人の為に必死になって覚えた。
老人の恩に報いる為に連日山に入って、美味しいと言われる獲物と野草、茸を採って帰って来た。
悪人面で笑い、不器用な言葉で褒めて少年の頭をくしゃりと撫で付ける。
二人はとても幸せだった。
だが、どんな幸せにも終わりはやって来る。
老人は、ついに文字を全て教えることは叶わなかったが、森と薬草、動物に関わりのある名前の文字と簡単な数字に足し算と引き算。
老人の名前であるクルガンと、何より少年の名前であるタリオンという名を教える事が出来た。
そうして、心残りが消えたのか。
ある日、クルガンは穏やかな寝顔のままで、息を引き取った。
老衰だった。
タリオンはひとりぼっちになった。
そうしてクルガンの庇護を外れてひとりになった少年を狙い。
悪意が牙を剥いた。
タリオンは村集落に属して居ないが、人が一人だけで暮らす事は難しい。
特に頭が悪く、吃音症の少年が同世代の友人を持つ事は終ぞ叶わなかった。
集団でいじめられている処をクルガンが助けに入って以来。
獲物の素材と食肉の換金と生活に使う塩などの買い物の為に、用事がある時はクルガンが一人で村へ出歩いていた。
だが老人は亡くなった。
クルガンが、少年を悪意から守っていたのだ。
きっかけは何だったのか。
流行病の元を放ったなど言い掛かりに似た罪で、タリオンはガラの悪い男達と衛兵に囲まれた。
冗談ではない。
流行病に苦しむ村の為に、症状を緩和し治す力を付ける薬草と肉を連日卸してるのだ。
だが、自分を弁護しようにも、頭の悪さと吃音症で言葉と思いは空回り。
そうこうするうちに縄をかけられ、痛めつけられて捕らえられた。
そこにどんな思惑があったのか。
タリオンは戦奴隷となり、形見の弓とともに戦場となる砦にやってきた。
そして、記憶(俺)は記憶に溶けて重なった。
(´ω`;)不器用ですので...