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子育て?超越者(ヒュペリオン)  作者: 樽腹
五章 それでも平穏な日々
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第5話 手駒の休日


人が触れる遊戯の段階全部すっ飛ばして、携帯ゲーム機とか最新鋭過ぎるだろ。


俺が思った以上に仲間の適応力が高過ぎた。


知識と記憶の共有が成されてるなら、教える必要も無いのか。


材料がある状態で、知識を受け取り後は無制限の暇と場所。



確かに後はもう、実践するしかないだろう。


ところでゲームやってる首なし騎士(デュラハン)さんはどうやって物を見てるんだろ?


ん?




...


なんか膝にある綺麗な女性の首が、キリッとした顔でシェイクを啜ってる。


あ、体当たり食らった瞬間凄い変顔になった。



...よし!


見なかったことにしよう。




しかし祭りって言うなら、もっとこう...

定番の射的とか輪投げ、金魚救い的な...



そこまで考えたが、それって地球の日本基準なんだよなぁ。



身体能力に始まり考え方から全て違う世界で。日本にある縁日の遊びが、無条件で好まれるかと聞かれれば...俺もYESとは言えない。


特に金魚救いやカラーひよこみたいな生体となれば扱いに困る。


翌日死んだとか、成長して捨てたとか話を聞いた事があるのでとてもじゃ無いが勧め難い。


まあ...結局何を好むかは人それぞれだよな。


隣を見ればゲーム機を使った遊び以外では、将棋に興じる者達が。


確か昔、将棋の本を片手に遊んだなあ。


こっちはオセロと囲碁に...誰だ、麻雀を出したやつは。


チェスにバックギャモン、トランプにウノ。

テーブル毎に遊ぶ種類が違う。



狼が数匹あちこちのテーブル横で尻尾をゆっくり振りながら観戦している。


見るだけで楽しい?そっかー..


狼でも参加出来るゲームをどうするかな。



型抜きに挑戦する者や、輪投げに挑戦するものまで居た。


輪投げは身体能力的な問題で、遠目に設定されてるもののひょいひょい入れている。


入れられる度に後ろへ下がっていく的。


側でタオルが鉢巻状になってるのが浮かんでる。


...いや君、其処は危ないからな。

言った側から、輪っかが顔あたりに直撃した。



「 )゜Д゜):∵ 」



タオルが宙を舞い


ドサっと何かが崩れ落ちる音がした。



...顔は見えてない筈なんだけど。なんで顔って分かるんだろう?



【治癒】しとこう。


そして君達は真っ直ぐ飛ばないとか軽過ぎるからって輪っかに鉄使うのやめなさい。


危ないから。



その隣には射的もあった。


なんだかんだ言って、一通り遊んでるんだな。



俺は玩具の銃を手に取って、的に見立てたぬいぐるみの置かれた場所の停止線で構える。


...銃を使うのは、久しぶりだ。


俺は肩幅に脚を開いて狙いを定め、引き金に指を掛けた。



...


コルクの弾って、大体真っ直ぐ飛ばないよね...


全く当たらない。おかしい。


これ細工し過ぎじゃない?違う?


ハイオークが指を指したその先で。


注文の品を作り終えた料理長が、ぬいぐるみの的に次から次へと当てている。


その横でなんか銃を背負った女悪魔がぺたんと座り込んで、虚ろな瞳でコルク銃を見つめていた。


当たらなかったんだ...



しかし、料理長も多才だな。

獲物の解体と料理が出来て、銃の才能か。


ところでその銃で何回練習したの?


まだ使って二日目?



ギギギって感じに首を持ち上げる女悪魔。





...


ま、まあ現役離れて十年近かったし?俺


若返ったとはいえこんなもんでしょええ決して負け惜しみなんかじゃありませんとも。




今度練習するか...



さらに広場みたいな空き地では、狼を中心に馬や虎と言った様々な動物達が。

皆一様に砂利まみれとなって、サッカーボールで遊んでいる。


隅っこには駄目になったボールが何個も転がっていた。


動き方が実に三次元で、容赦なく相手に体当たりしていくが、決して引っ掻いたり噛み付いたりはしない。


空中で味方を蹴って三角飛びするとか実物を初めて見た。


みんな一応魔獣の類なんだなあ...恐ろしくハイスピードだ。


普通の人間が入ったら、まず間違いなく細切れになりそう。


ボールより人間の方が頑丈な筈だとは思うんだけどなあ。






それからあちこちで彼等の遊びに付き合った。


麻雀でハコにしたりされたりもした。


参加した狩猟ゲームではデュラハンさんが何故か良く蜂蜜を切らしてたり。


ゴールのないサッカーは最終的に何故か俺が標的となって追われ。


ついに捕まって。甘噛みされたり舐められたり、身体を擦り付けられた。




──俺は、ほんの少しだけホッとしている。



キリルの手駒だった者からそうでない者まで、色々な種の生物が皆殺し合いをする事なく、平和に暮らしていた。




手駒は超越者の下僕。再利用の効く使い捨て。




...だからこそ、勝てた。


超越者の手駒である事は、命を投げ捨てる滅私奉公だ。


俺は、超越者は、彼等に普通の死を与える事が出来ない。




死は今ある束縛から逃れる唯一の術──



その筈が、全てを掌握された挙句に超越者同士の戦いに付き合わされる。



俺は彼等に報いる事は出来るのだろうか。



この世界で安らぐ事の無い者は、どうすれば良いのだろう?





ゾンビだった歩兵が別世界の銃兵と仲良くカレー鍋をかき混ぜている。


俺の横では玉ねぎを刻んで、涙目になってる六つの腕を持つ巨人。



皆で、焚き木を囲んで食べる。


いつの間にか戻って来た道化師と指揮者が、食後にどこの世界ともしれぬ歌を奏でる。


美しく、とても鮮やかな音色。



ゴーレムが優しい音色に誘われるように目を閉じ...船を漕いだ。


肩に止まった鳥達も眠そうに首を折り畳む。



...三つの月と一つの太陽の下。







其処に身分や種族の壁は一切無かった。


(´ω`)ここまで読んで頂きありがとうございナス!

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