第7話 闘争と狩猟 そして決着
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※この回は第三者視点でお送り致します。
放たれた鏃の煌めきが、無数の命を穿つ凶刃となって襲いかかった。
「!?!ギッ!」「ガァアッ!?!!」「ッ!!!」
あるオークは、喉を抜かれて無様に木に縫い付けられ藻搔いた後に動きを止め。
あるオークは脳天を撃ち抜かれて、そして背後にいるオークの頭で矢が止まり...そのまま二匹とも崩れ落ちる。
身体の中心部を撃ち抜かれて吹っ飛ぶ者も居れば。
目を撃ち抜かれ、そのまま背後へ頭蓋を破って脳漿を撒き散らす。
死んだものばかりではない。
耳をそぎ落とされたオークが居れば、足を撃ち抜かれたのも居る。
腕を貫かれた者が必死になって取り落とした武器を拾おうとして屈み。それが原因で隣の者の膝にぶつかって共に転がる。
動脈を掠めて大量の血を吹き出し、パニックになって武器を振り回して同士討ちをする者。
吹っ飛ばされたオークに巻き込まれて、転倒する者まで居た。
剛弓一閃。
弓に矢を番えて、狙い、引き絞り、放つ。
その動作が何の脈絡もなく起こり。全てが滑らかに繋がり一つの動きと転じて現れ。
止める間もなく無数の敵を討つ。
合成弓の威力は凄まじく。瞬く間に数を多く減らし混乱する、オークの群。
先頭に立つ首領のオークですら例外ではない。
だが流石に、一番の強者だけあって反応速度がある。
喉を狙って放たれた矢を間一髪で躱し、胸を狙った矢を肩で受けた。
衝撃で手に持った狼の子の死体を落として、後ろにずれる。
浮かべていた侮蔑の笑みは困惑へと変わり、はりついた痛みの理解と共に怒りを覚え、吠えた。
前へ走り、担いだ大剣を力任せに振り下ろす。
既に読んでたかのように少年が後ろへ下がり。ほぼ同時で一瞬前に少年が居た場所を大剣が唸りを上げて通り過ぎ、地面に激突した。
ドン!!!
途端に地面で爆発が起きたかのように、枯れ葉が土と一緒に飛び散り、鉄で穿たれた地面を晒す。
後ろに下がった少年が横へ駆けながら再び矢を取り出し、狙いを定める。
首領のオークはその矢が向かう射線を見据え、身体を覆うように大剣を構えて少年へ追い縋る。
防御の為に前へかざした大剣で、少年の全身こそ見えぬが足元の動きを見極めていた。
その足が、大剣の間合いに入った次の瞬間。
構えた大剣に伝わる大きな衝撃に、矢を放った事実に牙の付いた口を歪め。
大剣を振り上げると横殴りに薙ぎ払った。
バギバキバキ!!!
細い木から大きな木まで、例外無くへし折り、なぎ倒す。
首領オークはニヤついた笑みを浮かべ、次の瞬間には驚きのあまり口を開け目を見開いた。
敵(少年)が居ない。
探す為に辺りを見回し、不意に気配を感じて振り返る。
自分目掛けて飛んで来た『何か』を大剣で斬りつけた。
真っ二つに斬り裂かれ、地面に落ちたソレは。
紛れもなく、自分が率いる同族だった。
怒りに燃える首領オークは再び敵を探そうとして。
...森を抜けて、空から降って来た白刃に貫かれた。
ザシュッ!「ガハッッッ!!!」
大剣が手から離れ、地面に落ちて刺さった。
首領オークは少年を肩に乗せたまま仁王立ちしたまま、喉から大量の血を吐き出し。
頚椎を半ば刺し断ち喉まで貫いた少年は、突き刺したブロードソードを、何の躊躇いも無く力任せに捻った。
ゴキゴキゴキ!
あの一瞬の攻防で此処までのことを予測して動いたのだろうか。
最初に見せた弓矢を警戒させ、誘導し、確証を持って罠に嵌めて、仕留める。
首を刺された上にそこを基点にへし折られた首領オークが。
瞳と身体から完全に力を失い、崩れ落ちた。
少年はため息を吐いて、遺体からブロードソードを引き抜いた。
そして何回か空振りして血糊と脂を振り払い、鞘に納める。
視線の先には未だ混乱から抜け出せぬ、生き残りのオークの群れ。
僅かに首を動かせば、親の遺体から離れぬ狼の子。
既に合成弓は背中にある留め具にしまって背負っている。
そしてこれから起こる事は戦いではない。
報復がなされぬよう、拠点の安全が脅かされぬように、全てを摘み取る...一方的な殺戮(狩り)だ。
矢とブロードソードの消耗を嫌ったタリオンは地面にささった大剣を引き抜くと首領オークのように肩へ担ぎ。
オークの群へ駆け出した。
全てが終わり、生き残ったのは一人と一匹だけだった。
|´ω`)多くのオークが...