約束《Promise》
無事、第2話完成です。
こんなの書きたいなーと構図を膨らませるのはできますが、そこまで到達するのが難しいんですよね……。
今その状態です、はい。
彼女のお辞儀は慣れていると言わんばかりに柔らかく、自然な動きだった。その仕草にドキリとしてしまう。女性と接する経験があまり無かったので、少し思考が固まってしまった。ダメだ、顔が熱い。
「どうされましたか?」
少女の声ではっと我に返る。どうやら見惚れていたようだ。首を横に勢いよく振って冷静さを取り戻す。まずは名前を聞かなければ。
「あ、ええと、なんでもないよ。それよりも君は一体何者なんだ?」
少女は質問に即座に答える。
「私は、十一体存在する【/s】《スラッシュ》シリーズに対抗するため、笹海ユキノリ様が設計したいわば最後の/s。名称【AIVI/s】《アイヴィス》です。」
「自律型兵器……/sシリーズ……」
聞いたことがある。米や露などの権力の強い国が所持している女性の姿をした決戦兵器のことだ。小国ならばたった一機で滅ぼせるほどの力を持つ。それに対抗するって……爺さんは何を考えてるんだ?それにしてもアイヴィスは呼びづらいな、どうしようか。
「名前が長い訳でもないが…これからアイと呼ばせてもらってもいいか?」
「はい、マスターがそう仰るならば。」
よし、これで名前は解決か。
「なあ、アイも戦争をやるために作られたのか?」
聞くべきか悩んだが、聞かなければいけないと思い恐る恐る聞いた。
「いいえ、私は姉達の【抑止力】として作られました。私の目的は、姉達を止めることですから。」
俺はとんでもないものを完成させてしまったのではと思ったが、そうではなかった。
「抑止力……」
「はい。姉達は危険ですし、それに……」
「それに?」
「それに、私は姉達と共に生きていたいですから……。いくら私達が機械とはいえ、自由意思があります。戦い以外の事を姉達と一緒に知りたい。一緒に世界を見たい。それが私の願いです。」
まるで今にも涙を流しそうな悲しい顔でそう呟いた。実は機械ではないのではと錯覚するほど、人間めいていた。そんな顔されたら、願いを叶えないわけにはいかないじゃないか。
「その想い……応えない訳にはいかないね。」
「え……?」
「探そう。アイのお姉さん達を。」
「マスター……しかし、マスターを巻き込むわけには……。」
「違うよ、アイ。マスターだからこそ君の傍に居る。俺が君を完成させた。乗りかかった船だ。君と共に戦う、俺も。」
「マスター……ありがとうございます!」
あどけない少女のような満面の笑みを浮かべアイが抱きついてくる。む、胸が……!機械とは思えぬ柔らかい肌が……!
「ア、アイ!恥ずかしいからやめて……」
「人前ではないのに恥ずかしいのですか?」
「人がいなくても恥ずかしいものは恥ずかしいんだ。」
顔から火が出そうだ。
「ふふっ。そうですか。」
アイは柔らかく微笑み、更に強く抱きしめてくる。
「あ、あのー、アイさん?聞こえてましたか?恥ずかしいんですよ。」
「分かっています。顔が真っ赤ですもの。」
「うん。そうだね。だからね?」
思いは届かず、一向に離れる気配がない。仕方ないので、もがいて抜け出そうとすると
「少しいたずらしすぎました。………けれど感謝を表す一番の方法だと判断したので…。もう暫くこうさせてください、マスター……。」
アイは抱きしめる力を少し弱めていた。けれど、俺はもがくのをやめ、抱きしめ返す。
「…分かった。君の気が済むまで。」
「はい……。」
抱きしめ合っていた10分間は、永遠の時のように感じられた。
もうスランプですよ。
アイデアが浮かばないんじゃなくて、アイデアが浮かびすぎてどうしようか悩みに悩んでいるせいのスランプです。
とりあえず、リセットするには寝るに限ります。
そんで、3話もなるはやで書きます。