名探偵博美
真奈の寝室の足跡を調べることになった。
真奈は3歳なのにもかかわらず、自分の部屋を持っていて、基本1人で寝ている。ここは大工だった守の父が建てた家なのだが、とてつもなく広いのだ。父親が亡くなったあと、守が家を継いだのだ。
寝室には家族の足跡と、靴跡がひとつあった。
「靴っておい。さすがに笑っちゃうだろ。」
守が笑い出した。娘を亡くしたショックでおかしくなってしまったのか。
この靴跡は家のどの靴のものでもなかった。
私はもう家族を疑わない。そして、謎はもう解けた。犯人は賢治だ。ここは母の家でもあるので、合鍵を持っている。
「賢治さん、あなたが犯人だったのね」
「えっ」
「あなたが夜に忍び込んで真奈を殺したと言ってるのよ」
賢治が固まった。やはりこいつが犯人だ。
「お義姉さん、僕は悲しいよ。まさか僕が疑われるなんて⋯⋯。」
「違うっていうの?」
「動機がないし、こんな殺し方はお義姉さんの夢の話を聞かないと出来ないじゃないか!」
やっとボロを出したな賢治。私はお前に夢の話などしていない。
「夢ってなに?何のこと?私はあなたに夢の話なんてしてないわ。あなた、昨日の朝私が夢の話をした直後に来たわよね。聞いてたのよね?夢の話。」
「ありました!」
刑事の部下らしき男が靴を持ってきた。
足跡と同じサイズの靴が賢治の家の下駄箱から見つかったらしい。