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エッシェンバッハは無事に終わり

ランタンに明りを灯すと紺碧の世界が広がる。

「噂には聞いていたけど、本当にとても綺麗ね。幻想的。」

ヴィヴがうっとりとした声を出す。私は腕輪に装着した帰還用魔法陣を起動させるための魔石の残量を確認した。

これなら少なく見積もって1時間探索すれば帰還用の魔力はたまるはずだ。そのことをみんなに伝えるとエリックとジョルジュがほっとした表情をした。

やはり防寒効果のある私やヴィヴのローブに比べればシャツの防寒効果は低いのかもしれない。

「じゃ、パールスライム倒せばいいの?私が爆発魔法(エクスプロージョン)かけよっか?」

「ダメダメダメ。そんな大胆な魔法かけてスライム壊滅させたら生態系が崩れるよ。習ったでしょ。」

長杖を構えたヴィヴに真顔で説教する。洞窟の外に出た魔物は人に害を及ぼさないように排除がいるけどダンジョンにとどまっているものは必要以上に狩ってはいけない。

ダンジョン内で成立した食物連鎖を崩すようなことがあれば食物となる魔力を求めてより強い個体が外に出てくることもある、というのが最近の学説だ。

「え~。魔物にも気を遣うの。」

ヴィヴはちょっと不満そうだけどまさかの事態が起こったら困るし、私としては一気に大漁よりも細く長く収穫したい。


「それよりもあまりきゃいきゃい言わないように気を付けて。スライムは音や体温に反応するんだからね。」

そう言うと私はみんなに鞄からマスクを取り出して渡す。その辺の布にちょっと防寒効果を足しただけだけどないよりはいいだろう。

日光がわずかでも差し込む範囲にはスライムも現れないのでとりあえず進む。先頭にエリック、ヴィヴ、私、ジョルジュの順番はジョルジュが指定した。

エリックは自分の少し手前をふわふわと漂うマジックランタンの灯を目印に進む。少し水音が聞こえてくる。

「しかし寒いよなぁ。このシャツ着ててもこれなら普通の格好じゃ凍えるよな?」

「そうだねぇ。しかもエッシェンバッハは今は冬だから余計にそうじゃないかな?晴れてたら余計に冷え込むって聞くしね。」

「こうなるとコイツの存在が助かるよな。毛玉も役に立つことがあるんだな。」

「この無礼者はいつまで我を毛玉毛玉言うか!」

「じゃ、ここに限り毛玉様とでも言いなおすか?シャンタル様。」

「エリック、いい加減にシャンタルやフランに対する言葉使い改めなさいよね。」

そんな会話を交わすヴィヴとエリック、シャンタルの声を聴きながら魔眼のゴーグルを装着するとあたりを見回す。

ふと後ろを振り返るとジョルジュの肩にふわっふわに膨らんだフランが乗っている。

(やだ、モフモフしてる触りたい~。)

寒いから膨らんで凌いでいるのかもしれない。私の視線に気がついたのかフランが「キィっ!」と声を上げた。

ケチ・・・減るわけでもなし触らせてくれたらいいのに。

ちょっとイジケモードになった私は魔獣スノーレオポの毛皮を裏地に取り付けたモスグリーンの外套のフードを被った。

これで十分温かいからいいんだもーん。


「ただいまぁ。ルクー、今日は寒かったよぉ。」

帰還した私たちは温かいお茶を用意して扉の向こうで待っていたルクーを部屋に引き入れる。

エリックやヴィヴ、ジョルジュは別にこのまますぐに部屋を出て厨房ででもくつろげばいいのだが私は最終解除があるので出ることが出来ない。

「おかえりなさい、エマ。今日もご無事で何よりでしたね。」

ルクーがそう言いながらトレーに載せた温かいスープ、甘いタルトにお茶を乗せて間に合わせのテーブルに置いた。

ふぅふぅと冷ましながら口に運んだスープの温かさにほっと緩む。3人も同じようにスープを口に運びフランもいつの間にか普段の姿に戻っている。


「あれのどこが無事こともなしなんですかぁ。」

浄化の魔法をかけたのに何となく気持ち悪そうに髪の毛を指先で摘まみながら苦情を言う。

「治癒魔法を使うような大きな怪我もなく塗り薬使うようなかすり傷もない。腕やら目玉やらも無事に揃ってるし依頼主の需要も満たせた。無事以外ねぇよ。」

首筋に泥の塊をみつけてイヤな顔をしたエリックが言う。

暗殺されたりするような重要人物でもなかった私の護衛以外は訓練場での安全なトレーニングしかしてこなかったジョルジュはぐうの音もでない顔で口をつぐんだ。

「まぁまぁ。今回は無事に帰れたからさ。でも反省はしてよね。ヴィヴはやたらと魔法打たない。ジョルジュは・・・・慣れよう。」


エッシェンバッハの洞窟では狙いどおりにパールスライムの素材、他にも蛍石も無事に採取できた。

蛍石は魔力を与えて光らせることもできるだけでなく、日光にあてておけば暗いところで光る便利素材だ。

これをランタンに装備して置けば火気厳禁な場所の探索も便利になる。

これを取るためにちょっと洞窟の壁を掘ったらスライムが天井からドサっと落ちてきたのは計算外だった。

落ちてきたパールスライムが全部ジョルジュの頭上に降りかかってきたのはホコホコに保温してたフランのせいかもしれないけど肝心のフランは巻き添えなんてなるわけもなく無事逃げおおせている。

「気配がわかったから逃げた。」と得意げだったけどわかったなら教えてあげればよかったのに。

頭から冷たいスライムに覆われてエリックがナイフで取り除いたジョルジュはスライムみたいな青白い顔になってしまっていた。

ヴィヴががっつり説教してたからまぁいいかな。


あとは刀魚の襲撃に咄嗟にヴィヴが火炎を放ってエリックの肩にいたシャンタルが焦げて咄嗟にエリックが火を消そうとシャンタルを水に投げ込んで

クラーケンの幼生に捕まりそうになったシャンタルが本性を現して撃退して、その後「毛玉でクラーケンが釣れた」って言ったエリックを泥人形にしたりはしたけど。



まぁまぁ山あり谷ありながら大きな怪我なく帰還できたからよかったってことにしておこう。



新たなメンツを加えての探索は無事に終わりました。

ちょっと精霊さんたちは防寒具の代わりになったみたいです。

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