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ヴィヴへの説明(上)

2/24タイトルに(上)を付けました。内容は変えていません。

カウンターから慌てて飛び出すと同時にぎゅうぎゅうと抱きしめられて息が詰まりそうになる。


私を締め落としそうな勢いで抱き付くヴィヴことルイーズ・ヴィクトワールはヌヴェール学院時代の数少ない友人の一人だった。

攻撃魔法の使い手として名高いロシェ家の跡取り娘として入学しながら魔力出力回路が細く上級魔法を出せない私にも分け隔てなく接してくれた人。

杖の補助による直接放出以外にも呪符や魔石媒介という発動経路があることを古文書で一緒になって探したりしてくれた。

私がシャンタルと契約した精霊魔法も彼女の家の古文書にあったもので、魔法使いの多くが直接発動をするようになってからは余計な魔力を食うとして忘れられていた古代魔法に近いものだ。


ちなみに私と一緒に精霊魔法を研究していたヴィヴも精霊と契約することに成功している。

ヴィヴの精霊は風の眷属で空を駆けるハヤブサの姿をしていて、「フラン」という名前が付けられた。


「ヴィヴ?なんで来たの?」

なんとか抜け出そうともがくけど私より「少しだけ」背が高い彼女に力づくで抱きしめられてなかなか自由が利かない。

「僕がお連れしました。」

少し遅れてまた扉の開く気配とともにちょっとオズオズとした、これまた懐かしい声が聞こえた。

「あ、ジョルジュ気が付かなかった。」


「お嬢様、酷い!!」

ジョルジュの緑色の瞳が悲し気な色を浮かべるのに思わず苦笑する。

背も高くてがっちりして、褐色の髪はさっぱりと切っていて整った顔かたちをしているのにどうしてかいつもなんとなく自信なさげに見えてしまうのは相変わらずだ。

「あは、ごめんごめん。でもどうしてここに?よくわかったね。」

「父に聞きまして・・・・」

そういえばジョルジュの父であるロシェ家の筆頭執事は祖母とともに私を迎えに来た一行の中にいたのだから察しが付くのか。

「急にいなくなるからに決まってるじゃない!」

そんなことに納得しているとジョルジュの返答に思いっきりおっかぶせてヴィヴが喚くと抱きしめる手に力がこもる。ダメだ・・・聞いてない。

「そりゃ家出なんだから予告したらダメでしょ。」

それじゃ家出じゃなくてただの外出になってしまう。

「やはりロシェ家から追い出されたのね!」

ヴィヴは悲壮な声で尚更強くかき抱くので首が締まる。あぁもう聞く耳持たないな・・・。

「ちょっとは人の話を聞けぇ!!エレクティカ!」

そう内心でため息をつくと静電気レベルの軽い雷魔法を放つ。

「きゃぁぁ。エマ。ひどい!」

「人の話聞いてってば!!」

さらにもう一度放電しておいたんだけどケロっとしてる。もうっ!


ため息とともに私が言うと同時に肩にシャンタルを乗せたエリックが姿を現した。姿を消したと思っていたシャンタルはどうやらとっとと「眠り猫」屋に呼びに行ったらしい。

「おいおい、こいつの首が締まっちまうだろうがやめてやりな。」

2メーラに近いエリックが進みでると2人が息を呑む。ジョルジュが私との間に立ちはだかるように位置を決めたのはさすがだと思う。もっとも意味はない。

「シャンタル、ありがとね。エリック。こちらは私の友人のルイーズ・ヴィクトワール嬢。こっちはジョルジュ。ヌヴェールの家の者よ。二人ともこちらはエリック。私の友達。」

友達って言葉になんだか二人がショックを受けたような表情になるけど本当のことなんだからそれはちょっとむっとする。

「私はルイーズ・ヴィクトワールだけどヴィクトワールと呼んでくださいな。あなた、狩人なのかしら?」

瞬間表情をくるっと変えてヴィヴが優雅にお辞儀をする。

ヌヴェールの生粋の貴族である彼女の白金にも近い金髪が洗練された身ごなしにそってサラリと揺れる。

さっきまでの混乱はどこへやら、アクアマリンのように透き通った瞳に優し気な、でも「勘違いするな、これは社交辞令だ!」とはっきりわかる微笑み、完璧お貴族様。

どんなに急いでも20日はかかる旅なのに疲れた様子とか見陣も見せないのはさすがだなぁ。まるで歩いて数分の距離をちょっと移動しただけみたいだ。


「俺はこの街の狩人のエリックだ。しゃっちこばって名乗るほどの家も何もない。こい・・エマの古馴染みだ。」

見慣れない仕草にうっとなったエリックだが狩人の挨拶、とばかりに右手で左胸を軽く叩く。まぁ彼女は明らかにお貴族さまだからそう返すのが無難だろう。

「ジョルジュと申します。国ではエマお嬢様付き護衛としてお仕えしておりました。」

「エマ『お嬢様』・・・御付き護衛・・・・。エマ、お前本当にお嬢様だったんだなぁ。」


(エリック、疑ってたんかい?)


「ロシェ家は代々ヌヴェール王家にお仕えする宮中伯の家柄でありましたから。」

幾分誇らしげに告げるジョエルだがエリックはあまり気押された様子も見えない。

ブルグの街は直轄領だけど歴史ある自由都市だからお貴族さまに馴染みが薄いのだけどジョルジュはちょっとショックっぽい。


「地を這うものにふさわしいなんとも貧相な場じゃないか。」


天井の方から少し甲高い声が聞こえてきてみんなの視線がいっせいに上を向く。

「こら!フラン。そんなこと言うんじゃないの。ごめんね。失礼な子で。」

ヴィヴが睨みつける視線の先にはふわふわと空中で羽ばたくハヤブサがいて差し出された彼女の腕に優雅に舞い降りた。

「落ち着きない木っ端の分際でほざいておれ。見た目の美醜にのみとらわれるとは軽佻浮薄な主らしいの。」

挑みかかるような返答のシャンタルはエリックの肩にいるから視線はフランよりも上にあり若干ドヤ顔をしている。

(いつもは宙に浮いてるフランに見下ろされてるものねぇ・・・。そりゃそこから降りないよね。)

シャンタルとヴィヴの精霊であるフランの恒例の口喧嘩も始まって私はなんとなく懐かしい思いになった。

ケンカばかりの二人(?)だけど気が付くと同じベッドで転がって寝てたりするのでたぶん照れ屋さんどうしなのだと思う。言うと怒るけど。


「誰が軽佻浮薄だ。あぁ、やだやだ鈍重な輩のやっかみは聞くに堪えぬ。の。ヴィクトワール。」

ヴィヴのマントに着いている肩あてにふわりと舞い降りたフランがそう言うがヴィヴはそっけない。

「お黙り。フラン!このツンデレハヤブサ。」


この二人(?)は顔を合わせるといつも口喧嘩をはじめる仲なのを知っているヴィヴはうっとおしそうに腕を振ってフランを振り落とした。


ケンカするほど仲が良い。シャンタルの「お友達」も登場。

エマさんは出るとこ出てる系女性ですがヴィヴさんは良くも悪くもスレンダー、という感じです。


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