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暁星堂開店準備中

私が転移陣にとりくんでいる間にルクーは倉庫から色々と荷物を出して家や店を整えていた。

まず壁紙を明るいクリーム色に小花模様の愛らしいものに変えて、棚も洗浄の魔術で磨かれなんだか明るい色調を取り戻したように見える。

商品の棚の他には窓からの日差しが届く場所に簡素なテーブルセットを置いた。

いつかは買い物とお茶を楽しんでくれるようになったらいいな、と思う。


カウンターの奥の扉は作業場に通じている。

カオスのようにごちゃごちゃとしていたそこはルクーの手によって素材はキャビネットや倉庫、作業机の引き出しへと収納された。

作業机も祖父の時とは違いお花の鉢植えを置いてみたりちょっとしたお気に入りの雑貨なんかも置いた。

飾りの他にもお仕事用に簡易コンロや魔力調合用の鍋などが磨かれきっちりと整理され並べられている。


本棚も秩序よく整理されている。ちなみに今はタイトルのアルファベット順でちょっと探しにくいのが難点だ。ルクーに相談したら内容で分けると答えた。


(ルクーに内容の判別がどうしてつくのか・・・。やめよう。考えてもきっと解決しない。)


「あのオートマタはまことに有能。もはや人知も理も超えたような気がするが。」

「シャンタル、考えても無駄なことは考えないようにしようよ。」

「それが賢明。」

ルクーが倉庫から探し出してきた私のゆりかご!を作業場所での居場所に決めたシャンタルの言葉に私は思考を停めることにする。

倉庫に魔力糸があったので加工して虹色リボンを作って首に巻いてあげるととても喜んでくれた。

ゆりかごの中にはこれも倉庫にあったらしい端切れで作成された可愛らしいクッションが詰められてシャンタルのお気に入りになっている。

けっこうな量があったので私のベッドキルトも作ってくれると言っていた。とっても楽しみである。

(ルクー、まじ万能。)

考える余力は転移陣の行く先での探索の対策に回す方がいいだろう、うん。


どうやら私は割り切ることがだんだんにうまくなってきている気がする。


暁星堂の看板は祖父が使った水晶玉とペンの看板の下に新しくシャンタルの横顔を彫った小さなものを加えてみた。

「我はもう少しほっそりしておるはずだ!」

などと口では文句ばかり言いながらシャンタルは満更でもなさそうに見上げている。

見た目可愛らしいからきっと人気の看板わんこになってくれるだろう。

犬じゃないけど。犬扱いしたら怒るけど。


シャンタルには招きワンコとして手伝ってもらう代わりに万能ルクーは完全裏方としてお客さんの前には出さないように決めた。

あんなオートマタの概念を壊すようなもの人目に晒せない。

祖父の頃と変わりすぎて私がやったと思われて作れと言われても無理だし。

「年経たものは魂が宿るんです。どうやらルクーもそうなっちゃって。テヘペロ」

とか言ったってたぶん誰も信じてくれないだろう。


暁星堂を開店するために必要なブルグへの住民登録も無事に済ませた。

私はヌヴェールで成人したけど生まれがここブルグであることははっきりしているのと保証人がアメリ叔母さんだったからわりと早めに出た。

もちろん登録費は結構かかったけどヌヴェールを離れる時に貰うものは貰ってたし個人でも学院時代から道具作りやら家庭教師で稼いでいたから大丈夫だった。


お金大事。お金で全ては買えないけどお金は自由の範囲を広くする。


最近の悩みは新生暁星堂の品ぞろえについてだ。祖父の魔術具はまぁ一般的な品揃えだった。

狩人たちが使う簡単な護身用の攻撃用使い切り魔術具、狩人にもいる魔法使いのためのちょっとだけ手の込んだ呪符。救援要請用の魔術具。

魔法使いたちが使う実験用の道具、簡易なものだけど解析キット。あとは王都から仕入れる魔術具として魔力媒介に使う文房具。街の人が普段の生活に使う魔石を動力源にする簡単な日常生活補助魔法具などなど。

販売の他には狩人や魔法使いの持つ武具や防具に対して効果付与したり、オーダーメイドで作ったりが主な仕事だったらしい。


でも私は思うのだ。普通の魔法道具だけってつまらないよなぁって。


冒険者向けの道具を売るのは大事な仕事だけど祖父の在庫は実用一点張りなのが物足りない。

可愛らしいバックやら装備があってもいいじゃない。最近は女性狩人も増えている。衛生グッズ詰め合わせなんかもいいかも。

女子には女子の必要なものがあるのだ。最初に買えば後は無くなれば補充でいいんじゃないかな。

祖父の在庫以外に私のオリジナルもいくつか見本に入れてみるのもいいかもしれない。そのためにこの素材採集には便利な環境は役に立つだろう。


そんなことを考えていると動きが止まっていたらしい。視線を感じて振り返るとエリックがジト目でこちらを睨んでいた。


「お前さぁ。あっちで魔法魔術習ってきたんだよな?だったらどうしてチャッチャと魔法で片付けないの?」

渡された雑巾で窓ガラスの磨いく手は休めずに聞いてきた。

「手ずから磨き上げてこそ愛着もわこうってもんよね。」

「だからってなんで俺が。」

「だってあなた従業員ですもの。必要なら狩りもできて安定収入もあるなんて優良職場っていうのよ。おばさんも喜んでるよ。」

転移陣解除に注力すると活動するとギルドのノルマを果たせなくなるので暁星堂採用というかたちでギルドに申請したのだ。

「なぁんか納得いかねぇ。」

「口は良いから早く働け!」

地下からルクーに背負わされた商品を持ったシャンタルが鼻先でエリックをつつく。

「わぁったよ。この家の女どもは人使いが荒すぎるんだよ!」

何だかんだ言いつつ店のドアやら窓ガラスやらを一生懸命拭いてくれたエリックはいいやつだと思う。


「チビが拭いたら届かないじゃん。」


とかさえ言わなければ。だから私はチビじゃないってば!!



ちょっとぶつぶつ独り言メインな回に。

エリック君、なんだかんだと言いつつエマのお仕事を手伝ってくれるいい奴です。


よろしければ評価、感想などいただけると励みになります。

よろしくお願いします

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