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ルクー魔改造疑惑(?)

今日は短め

エリックがメッスから無事に帰宅した。


「なぁエマ。ルクーってお前が抱いてた人形だったよな。記憶の中よりデカくなってね?」

実家に荷物を置く前に立ち寄ったらしいエリックはお茶をのせたトレイを手にスムーズな動きで近寄ってきたルクーを見て目をむいた。

今もお茶を飲みながら落ち着かない様子でチラチラとルクーの様子を伺っている。

もっとも当のルクーはさすがオートマタというべきか全く気にする様子も見せていない。

オートマタなんだからそういう感情自体がないと言われればそうかもしれないけれど。


「エマの施した魔改造ぞ。小僧、エマに逆らえばおぬしもこんな目に・・・くっくっくっく。」

そんなエリックの首にまた小型化したシャンタルが飛び乗って首筋を尻尾でパタパタとからかうように叩く。

「やかましいわ。この毛玉が!」

「くくく。そのようなぬるい動きに我がつかまろうはずがなかろう。」


なんだかんだと文句をいいながらシャンタルはエリックが気に入っているのかもしれない。



「アメリ、私動けるようになりました。」

ルクーが赤い目を輝かせて嬉しそうにアメリ叔母さんの前でくるりと回る。

「あ、あぁ。滑らかに動くね。喋りもしっかり。」

ルクーにまだおっかなびっくりのエリックに比べて祖父の娘でこの家で生まれ育ちルクーにもなじみのあるアメリ叔母さんの適応力は早かった。

「あれ?これ私の服じゃない?母さんが縫ってくれてエマも着たよね。ってかこんなのが残ってたんだ。」

ルクーが着ている服は倉庫から探し出してきたアメリ叔母さんの子供の頃の服だ。

私の『修理』で大きくなってしまったルクーは元あった服が着れなくなったので倉庫から引っ張り出してきたのだ。



「倉庫にまとめて置いておりました。勝手に拝借してよかったでしょうか?」

「いいも何も、懐かしいね。これが着れるくらいにルクーも大きくなったんだね。」

懐かしそうに服の生地をそっと指先で触って確かめている。

「エマの魔力が僕を大きくしたのです。」

「・・・エマの魔力がね。」


何度も言いたいが私がルクーに施したのは『修理』だ。けしてシャンタルが言うような『魔改造』ではない。断じて違う。

そう反論しようとしたがアメリ叔母さんはそこで考えるのを放棄したらしい。話題をさくっと変えてきた。


「そうそうエマ、私にもまた戻れってどういうこと?」

クルックスの伝言で結局せっかく帰宅したメッスからアメリ叔母さんはトンボ返りしたことになる。ルクーに言われたままに伝えたんだけど私も理由は聞いていない。

「最初に訪ねないといけない人がいるのです。ヴィンスの死を伝えなければならない人がいます。やはりアメリも来るべきだと呼びました。」

「父さんの死を?まだそんな相手がいたのかね?」

「とてもとても遠い場所です。春と秋ヴィンスは必ず訪ねていました。」

静かな口調で言うルクーに対してこれ以上問いかけるのも無意味な気がして質問はとりあえずここまでにしておいた。

「ま、行ってみればわかることだしね。考えてもしょうがないさ。エマ。」

アメリ叔母さんは相変わらずとても男らしい・・・いえ、割り切りの早い人です。


エリックが帰宅した後で2階の部屋で一緒に眠るついでに改めて整理された家をアメリ叔母さんに見せて回った。

ルクーは私も知らないような古い家具を引き出してきては私に洗浄魔法や浄化魔法をかけさせて家を整えていた。


店の奥にある作業スペースやお店なんかにはあまり興味をひかれなかったみたいだけどその代わり懐かしい部屋にはとても関心を持ってくれた。

帰宅した頃には色が褪せてかすんだ感じの応接間は重厚な雰囲気に変えている。

モスグリーンのソファとテーブルセットに商品の見本を展示するためのガラス張りの猫足キャビネットが置いてある。

今は陶器のティーセットが置いてあるだけだけどそれを見て叔母さんがまた笑顔になる。


「あぁ。これは母さんのお気に入りだったティーセットだね。成人式の後にこれで初めてお茶をいれてもらったけ。」

扉を開けてティーセットを手に取りながらアメリ叔母さんの頬が柔らかく笑みを浮かべる。

「では明日はそれでお茶を淹れましょう。ミルクティにワッフルでよろしいですか?」

「私の好みもばっちりなのね。ありがとう。楽しみが増えたわ。」

アメリ叔母さんが小柄な子供くらいの背の高さのルクーの薄紫の髪の頭をぽんと撫でた。

「ありがとうございます。」

私と今夜休むことになった祖母の居室は新しいものを買おうと思ったけど作業室に籠っている間にルクーが謎倉庫から家財道具を探し出してきてくれた。

カーテン以外は叔母さんの記憶の中の祖母の部屋が蘇ったようだと懐かしそうにしていた。


「アメリ、エマ。食事にしましょう。今夜はカルボナードを作りました。パンも焼いてみたので食べてくださいね。」


甘辛く煮こまれた柔らかい牛肉と誰かと交わす会話をしながらの温かい部屋、ゆっくりと時間が過ぎてとても楽しい晩餐だった。


エマはルクーは「修理」しただけと主張してますが、エリックもアメリも『魔改造』以外何物でもないと思ってます。

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