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四季逆の唄~Reverse Season~  作者: 臣将汰
夏の季節『夏色の雪』
6/9

六曲目『夏雪祭一日目・約束』

《♪》



【夏雪祭】初日


 俺は寝不足だった。合宿以降、シャリアを凄く意識してしまったからだ。それにシャリアには悪い癖がある。俺が寝ていると、その布団の中に、いつの間にか侵入していることがあるのだ。

 そして起きたら起きたで、顔を真っ赤にして怒るのだ。困ったものである。

 俺がそう思っていると、皆見に背中を叩かれる。


「こらこら。そんなので大丈夫か! 元気出せ! もっともっと熱くなれよ!」


「〇造かよ。ったく、皆見は元気なのな」


 それを聞くと、皆見はフンと胸を張る。


「あたぼうよ! こちとら生まれながらの江戸っ子だぜ?」


「誰だよ。ってか、お前の認識の江戸っこズレてない?」


「そお? なら、絶対ズレてない奴で行くよ。俺のこの手が真っ赤に燃えるぅぅぅ!! シャ〇ニングゥゥゥゥゥ!」


「やめい。それガン〇ムファ〇トがレ〇ィゴーしちゃうでしょうが」


 俺が暴走しようとする皆見の頭を小突く。


「やっぱ、ダメか……」


「駄目に決まってんだろうが」


「でも、私達、最終日まで暇だよ? 私達のクラス展示だし」


「学祭回れよ」


「ええ。つまんない!」


 駄々をこねる皆見。仕方ない。


「お――い。二津! 皆見が暇らしいから学祭一緒に回ってやれよ」


「ちょっ! はるるん!?」


 慌てて狼狽する二津。実は皆見は二津の事が好きなのだ。少々の付き合いだが、分からん方が可笑しいレベルだった。


「俺が気づかないと思ったか?」


「! な、何故!?」


「ほら、俺の傍には今まで英子さんと雄太さんがいたからな」


「っく! なんと言う説得力!」


 ちなみに英子さんと雄太さんは元から付き合っている。

 それを俺は、ずっと見てきた。まあ、分からん訳がないよね。


「という訳で頑張れ! 二津パス!」


 俺はそう言って皆見を押し、二津に皆見をパスする。二津はそれをそっと受け止める。


「きゅうっ」


 その瞬間、皆見の顔はトマトみたいに赤くなる。


「おっと、何これ? どういう事?」


「じゃな!」


 俺はそう言って立ち去る。


「おい! ちょっと! ハル!?」


 後ろから二津の慌てた声が聞こえたが、俺は気にせず、走りつづけた。



《♪》



 俺は欠伸をしながら【夏雪祭】を回っていた。


「やっぱ眠い。どっかで寝たいけど……。あ、あそこなら寝れるな」


 俺はそう思い屋上へ足を伸ばす。屋上には厳重に鍵がかかっていた。しかし俺には関係ない。


「確か、先生から借りてた鍵が……。っとと、あった、あった」


 俺は鍵で屋上のドアを開ける。

 下では祭りらしく、みんな騒いでいた。


 俺は軽くため息をつき、首にかけているヘッドフォンを頭につけ、音楽をかけ、寝転がる。

 そして俺は意識を少しの間手放す事にした。



《♪》



 柔らかい。頭の後ろに何か柔らかいものが当たっている。何かわからないが、ひんやりして、すごく気持ちよかった。


「ん、できれば動いて欲しくない。くすぐったい」


 ん? 上からそんな声が聞こえる。

 俺が恐る恐る目を開けると、そこにはシャリアの顔があった。


「うぉっと、なにしてんだよ! シャリア」


 俺は飛び起き、ヘッドフォン外して怒鳴る。


「ハルキが屋上に行くのが見えたから追ってきた。そしたら寝てたから膝枕した。それだけ」


 シャリアはいつも通り無表情でそう言う。

 俺は呆れて物も言えなかった。


「後、言っときたい事があったから来た」


「なんだ?」


「合宿の時、私に質問した? 覚えてる?」


 覚えてるに決まっている。むしろそのせいで、眠れなくなっていた。しかしそう言う訳にもいかず、普通に返事する。


「まあな」


「【夏雪祭】最終日の【後夜祭】の時、またここに来て。そしたらあの時の質問に答える」


 シャリアは何故か自分も持っているのをアピールするかのように鍵をクルクルと回して言った。



《♪》


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