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精霊と亡国の姫君  作者: 皐月乃 彩月
1章 はじまりのはじまり
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3話 ベリータルトは好物です!


目覚めてから半年後、私達はこの八華学園に入学しました。

そして入学式の日、私は瑠璃ちゃんに出会いました。

瑠璃ちゃんは美人さんで頭もよく、しかも同じ科で同じクラスの人でした。

氷の精霊を持つものは今はいないので、当然専用の科もありません。

なので私達は一番親和性が高く、誤魔化しのきく水の精霊の科に所属しています。

瑠璃ちゃんは中等部からこの学園に通っていたらしいので、学園を案内してもらったり、出会った当初から色々と面倒を見て貰いました。

やっぱり瑠璃ちゃんは、とっても優しいです。


「いやー、私は運がいいですねぇー」


白雪は入学式の時の事を思い出し、思わず口に出していた。


私は本当に運がいい。

学園に入ってすぐに、こんなパーフェクトで可愛い親友をGET出来るなんて!

幸先が良すぎます!


「……なんの事を言っているんですか?」


突然呟いた白雪を、瑠璃は訝しげに見た。


「ふふー! 瑠璃ちゃんと私の記念すべき出会いを、思い出していたのですよ! あれはまさしく運命です!」


「なっ何をふざけたことをっ!? 鈴さんや翔君も大変ですね、こんな幼馴染みを持って!!」


瑠璃は照れたように頬を赤く染めると、誤魔化すように怒った。


……これはツンデレですね、可愛いです!!


「まぁ……白雪はいつもこんな感じなので……もう諦めてます」


「……しょうがない」


白雪が1人心の中で萌えていると、幼馴染み2人から容赦のないお言葉が浴びせられた。


「ヒドイです……」


流石の白雪もこれには傷付いた。


「でも、まっまぁ、貴方は普段ちゃらんぽらんですが、す、少しはいい所もありますよ!?」


白雪が傷付いた顔をしたからか、気付いた瑠璃が慌ててフォローに入った。


瑠璃ちゃん、やっぱり優しい!


「……例えば?」


白雪は目を輝かせて、返答を待った。


「……成績がいい所?」


うんうん、確かに私は筆記は学年トップです。


「他には!?」


白雪は更に聞いた。


「…………………………………物怖じ……しない所?」


あれ?

何か間が長くないですか?

……確かにあまり人見知りはしませんが……。


「………他には?」


きっとまだある筈と信じて、白雪は更に聞いた。


「…………………………………………………。」


「無いんですか!? もっとあるでしょう!? ある筈です!!」


白雪は叫んだ。


ヒドイです!

たった2つしか出ないなんて……

しかも何で全部疑問系なんですか!?


「仕方がないのでは? 白雪は頭のいいお馬鹿ですし……」


「うんうん」


そして長い付き合いである筈の、幼馴染み2人にも突き放される。


「そ、そんな!? 皆ヒドイです!!」


「まぁまぁ、白雪。おやつにケーキを出してあげますから、落ち着いて」


鈴が落ち着くように、白雪を食べ物で釣ろうとした。


私はそんなもので誤魔化されたりは……ケーキ、何ケーキかな?


「何ケーキですか?」


物によっては、水に流してやらないこともないのです。


「白雪の好物のベリータルト♡」


「ベリータルト!!」


私の大好物です!


「早く、放課後にならないかな!」


私の頭の中は、すっかりベリータルトで一杯です!


「……やっぱりアホの子よね」


「ですね」


「だな」


そんな白雪の姿を3人は、遠い目で見詰めていた。

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