2話 私の秘密なのです
説明回です。
この世界には、かつて8つの国が存在した。
光の精霊の加護を受けた、光の国。
闇の精霊の加護を受けた、闇の国。
火の精霊の加護を受けた、火の国。
水の精霊の加護を受けた、水の国。
風の精霊の加護を受けた、風の国。
土の精霊の加護を受けた、土の国。
雷の精霊の加護を受けた、雷の国。
そして今は亡き氷の精霊の加護を受けた、氷の国。
100年前、魔物に襲われた氷の国は亡びた。
そして氷の精霊の加護を失ったことで、世界はバランスを崩した。
世界に止まらない温暖化が巻き起こった。
世界から冬が無くなった。
特に影響を受けたのが、水と火の国。
水の国は熱さで水が干上がり、その力を弱めた。
火の国は精霊の力は増したが、慢性的な水不足を抱えるようになった。
水不足は重大な問題だ。
生物が生きるために、必要不可欠。
だから今この瞬間も、この世界は緩やかな滅びへと向かっている。
精霊の加護を受けた各々の国は、過去に精霊と交わり精霊に愛されし一族によって治められている。
強い加護を受けた王族は、その姿にも影響を受けた。
光の国の至光は曇りなき純白、髪も瞳も白を纏っている。
闇の国の闇夜は全てを呑み込む漆黒、髪も瞳も黒を纏っている。
火の国の火冠は業火の赤、髪も瞳も赤を纏っている。
水の国の水城は地を潤す青、髪も瞳も青を纏っている。
風の国の風間は癒しの緑、髪も瞳も緑を纏っている。
土の国の土谷は大地の茶、髪も瞳も茶を纏っている。
雷の国の宗蕾は地に降る黄金、髪も瞳も金を纏っている。
氷の国の氷室は凍てつく白銀、髪も瞳も青みがかった銀を纏っている。
私の樋室 白雪の名は偽名。
本名は氷室 白雪、100年前に滅びた王族の末裔です。
だから私は周囲にバレないように、黒髪のウィッグにレンズの厚い黒縁メガネで髪や眼の色を隠しています。
この事を学園で知っているのは、2人だけなのです。
親友である瑠璃ちゃんさえ、この事は知りません。
私の秘密を知る2人は、北海 鈴と北海 翔の双子の姉弟であり私の幼馴染み。
彼等は氷室に、代々仕えている家の者達です。
私達の目的は、いつか氷の国を復国させる事。
今はこの世界を知る為に、学園に通っています。
私達は本来、この時代を生きる人間ではありません。
国が魔物に襲われた際、私達だけでも生かす為に私の母である当時の女王が命を賭けて、私達を氷の結界に閉じ込めました。
しかし長い年月が経ち結界が効果を失い、私達は再び目覚めました。
目が覚めた当初は、絶望で一杯でした。
何せ、何一つ残らなかったのです。
家族も他の友人も、民も、国も、何一つそこにはありませんでした。
あの時生き残る事が出来たのは、私達だけだったのです。
真っ白な雪原が美しかった大地も、今は影もありません。
私達は何日も泣き続け、そして3人で必ず国を復国させることを誓いました。
だからこそ力をつける為に、学園に入学したのです。
今の情勢を知る為にも、学園は何かと都合がいいのです。
瑠璃ちゃんと友達になったのは、偶然でした。
けれど、私達にとって瑠璃ちゃんはかけがえのない友達です。
だから、瑠璃ちゃんへ全てを秘密にしてしまっていることは、とても心苦しいのです。
私達には、絶対に叶えたい願いがあるから。
――でも、いつか
――いつか本当の事を、話せたらいいと思います。
ブクマありがとうございますm(__)m
不定期で1話1話短めですが、これからもお読みいただけると幸いです。