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精霊と亡国の姫君  作者: 皐月乃 彩月
1章 はじまりのはじまり
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1話 出会いは

ここで、時は入学時らへんまで遡ります。

短め。


この世界では精霊と人とが共存する。


「ここが八華学園……」


1人の少女が広大な面積を誇る、八華学園の門の前に立った。


今日から私はこの学園の生徒になるんですね。

この世界唯一の精霊使いの学園に――――


「貴女も新入生ですか?」


声をかけられて振り返ると、そこには美しい少女が微笑んでいた。



 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





「白雪、次の授業が始まりますよ! 早く移動しましょう?」


授業中居眠りをしてしまった少女を、耳心地の良い声が揺り起こした。


「ふぇえ? もう授業、終わったんですか?」


白雪と呼ばれた少女は伸びをして、声の主に尋ねた。


「とっくのとうに終わっていますよ! ……はぁー、こんなのが座学のトップだなんて……世も末ですね」


ため息をついては呆れているのは、白雪の学園に入学して以来の親友水城みずしろ 瑠璃るり

瑠璃と白雪仲良くいつも一緒にいるが、実は瑠璃は正真正銘のお姫様。

瑠璃は、水の精霊が守護する国の王の実の娘であった。


そしてナイスプロポーションな美人さん。

そして何より、私の嫁!


端から見ると釣り合わない関係だが、白雪は瑠璃によく懐いていた。


「世も末とは酷いですね!? 眠りは人類にとって必要不可欠ですよ!」


「……貴女はどう考えても寝過ぎです。授業の大半は眠っているじゃないですか」


睡眠はとても幸せな時間なのに、瑠璃ちゃんはまだまだ子供ですね。

この素晴らしさが分からないなんて。


白雪は憐れみの目で、瑠璃を見詰めた。


「今……何か私の事を馬鹿にしましたね?」


「いぎゃっ!? あぅー、離してくださいー!」


しかし同じ時間を過ごして分かるようになってきたのか、瑠璃の勘は冴え渡り、白雪のおバカな考えを読んで頬をつねった。


ヒドイ、口に出してないのに……


「何かしらその顔は? まだ足りなかったのかしら?」


そう言うと、瑠璃は更に力を込めた。


「ごっ、ごめんなしゃい!? もう思いませんからっ!」


白雪は即座に謝った。

変わり身の早いことである。


瑠璃ちゃんは怒ると恐い。

これ、常識です。


「ほら行きましょう?」


ある程度満足したのか、瑠璃は微笑んで白雪に手を差し出した。


「はいっ!」


白雪は、迷わずその手を取った。

まだ出会って間もないが、この手が優しいことを白雪は知っていた。




――この頃の学園生活は平穏で、毎日が楽しかった。


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