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精霊と亡国の姫君  作者: 皐月乃 彩月
2章 波乱の学園生活
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5話 殴りたい同盟です!


「何だか、聞いたことがある気が………もしかして、その人って七星 ひかるさんだったりします?」


私は、その特徴に当てはまる人の名前を知っています。

今現在進行形で、瑠璃ちゃんに迷惑をかけている人です。


「そうだ……流石の白雪でも、知っていたか」


白雪の予想は見事に当たっていたようで、噂の七星 ひかるで間違いないようだった。


……でも、そうですよね。

そんな傍迷惑な人が、何人もいるわけありませんよね。

あれ?

でも、確か噂だとあの人は……


「確か七星さんは、身分が高くて顔がいい人ばかりを侍らせてるって鈴は言ってましたけど……どうして、双季君に付きまとっているんです?」


双季は白雪と同じく変装をしているが、ぱっと見はとてつもなくもっさい。

とてもじゃないが、噂に聞く七星 ひかるの好みとはかけ離れているように思う。

寧ろ、正反対に位置しているだろう。


「……あー、それはその…………」


白雪の指摘に双季は、気まずそうに目をさ迷わせた。

その答えは、きっと双季の隠していることに関係しているのだろう。


「すみません。お互いの事は、深く聞かない決まりでしたね」


白雪は、ペコリと頭を下げた。

あまり、深く踏みいるべきではないのだろう。


最初にそう約束を交わしたのに、私はすっかり忘れてしまっていました。

双季君に、気まずい思いをさせてしまいました。


「……いや、お前ならいい」


双季は口元しかろくに見えない顔で笑みを浮かべると、鬘と眼鏡を掴み取った。

今まで隠されていた顔が、見えるようになった。


「え……?」


現れた容貌は、真っ白な髪にパールのように美しく輝く瞳。

先程までとはうって代わり、誰もが美形と称するであろう顔が露になった。


これなら七星 ひかるに付きまとわれるのが、分かりますね。

噂に聞く彼女の好みに、当てはまります。

あれれ?

でも、髪も眼も白ってことは…………


「……光の王族?」


混ざり気のない髪と目が同色の人は、王族以外いない。

そして、白は光の王族の色。


「そうだ俺は至光 双季……光の国の第一王子で、至光 一輝とは異母兄弟にあたる」


「えぇえ!? あの性悪な人と兄弟なんですか!? ご愁傷さまです!」


白雪は、衝撃の事実に叫んだ。


あんなのが弟なんて、胃が破けそうです。

きっとストレスで死んじゃいます。

双季君を尊敬します!


「く、クククッ! そっちかよ……他にないの? 俺は王族だけど?」


双季は一瞬目を見張ると、お腹を抱えて笑いだした。


む……ちょっと、笑い過ぎですね。


「え? だから何です?」


私だって、言ってませんが一応は王族ですけど。

他に何かあるんですか?


「何って……媚び売るとか。……俺は一輝には劣るけど、それなりに有料物件なんだけど?」


「え? あの性悪な人より、双季君の方が全然良いですよ!」


双季君よりあの性悪な人の方がいいなんて……皆さん目が悪いんでしょうか?

眼鏡をかけた方がいいのでは?

私は伊達ですけど。


「そ、そうか……」


白雪が自信満々にそう言うと、双季は照れ臭そうにそっぽを向いた。

裏表なくそう言われることは、双季には今まで無いことだった。


「むしろ、あの性悪な人は一発殴ってやらないと気がすみません!!」


白雪は堅く拳を握り、決意した。

それだけ白雪の一輝達への怒りは、凄まじかった。

王族である白雪の本気の一発、光の国の王子である一輝はまだしも元は平民である七星 ひかるがその一撃を受けたら只ではすまないだろう。


何時か正体を明かせる時が来たら、必ずヤってやります!

あの性悪のせいで、瑠璃ちゃんが傷ついてるんですから!

そして、双季君の爪の垢でも煎じて、あの性悪に飲ませてやります!

七星 ひかるには、瑠璃ちゃんのですね!

きっとあの最悪な性格が、改善されると思います。

その後はボコボコです!


「殴るって……お前実技の成績悪いんじゃなかったのかよ? …………でもいいな、ソレ。その時は、俺にも一枚噛ませろよ?」


双季君はまた腹を抱えて笑うと、そう言った。


「はい! 今度はあの性悪達を殴りたい同盟ですね!」


私達は、そうして新しい同盟を築いたのでした。


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