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精霊と亡国の姫君  作者: 皐月乃 彩月
2章 波乱の学園生活
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1話 暗雲じわじわ

新章です


楽しい時間はあっという間に過ぎ、私達は2年生に進級しました。

そして双季君は約束通り誰にも話したりしなかったので、バレて鈴に怒られることもありませんでした。

今でも頻繁に、温室へ遊びに行っています。

温室で咲き誇っていた“氷晶華”は、双季君が独自に品種改良したもので寒い地域でなくても咲くように調整したものらしいです。

双季君とも、この1年ですっかり仲のいいお友達です。


「……何だか、瑠璃ちゃん元気がありませんね」


しかしそんな順風満帆な楽しかった生活も、学年が上がったことにより近頃変化を見せてきた。


「やはり、婚約者がある女生徒に夢中なのが、原因なのでは?……本人は、あまり好いてはいないようでしたが」


そんな白雪の呟きに、鈴が推測を話した。


「女生徒?」


瑠璃ちゃんの婚約者である至光 一輝は性悪なあの少年で、瑠璃ちゃんと顔を会わせる度に嫌みを言ってくるいやーな奴です。

それが、ある女生徒に夢中?

あんな人に好かれるなんて、その子も御愁傷様ですね。


「えぇ、今年入学した生徒です。名前は七星 ひかる、専攻は光。入学早々、婚約者のいる見目のいい男にすり寄るアバズレです。白雪は決して近づいてはいけませんよ。穢れます」


鈴は嫌悪を滲ませた表情で、白雪にそう言い聞かせた。


鈴がこんな風に言うなんて……余っ程、ヤバイ人なんですね。


「そ、そんなにヒドい人なんですか?」


「それは、もう。至るところで反感を買って、嫌がらせ等もされているようですね」


「嫌がらせ?」


それはちょっと可哀想ですね。

反感を買う理由も納得できますが、同情してしまいます。


「教科書を破かれたり、靴や私物を汚されたりといった感じらしいですね」


「随分、詳しいですね?」


そういったことはあまり人には知られないよう、コソコソと行われているイメージなので意外です。


「それはそれは大声で、取り巻きの男達に泣きついているのを目撃されていますから」


「それが原因なのにそんなことして……更に怒りに火を注いでいるんじゃ?」


女の嫉妬は怖いものだと、昔お母様が言っていました。

そんな煽るような行動をとるなんて、七星さんはひょっとして自殺志願者か何かなんでしょうか?


「勿論、嫌がらせは更に激化しているようですね。それでまた男に泣き付き、男達は守ろうとより傍に侍る。まさに悪循環です」


鈴は冷めた目で、そう言った。


確かに関わりあいたくないタイプてます。

見かけることがあっても、近づかないようにしましょう。


「……それにしても、そんな女の人を瑠璃ちゃんより好きになるって、あの性悪野郎の趣味は特殊ですね」


そんな人に瑠璃ちゃんが負けているわけがないので、奴の目は腐っているのかもしれません。

今すぐに、病院に行くべきですね。


「でも何でそれで瑠璃ちゃんの元気がないんです? 瑠璃ちゃんはあの性悪野郎の事なんて、微塵も好きではありませんよ?」


白雪には、瑠璃がそんな事で傷付くとはとてもじゃないが考えられなかった。


「えぇ、本人はそうでしょうが、周りはそうとは考えていません……瑠璃さんが、その嫌がらせを主導しているという噂が流れています」


「何ですか? その噂は? 事実無根もいいとこです! そもそも瑠璃ちゃんは、ずっと私達と一緒にいるのだからそんな事は不可能です!」


あり得ない噂に、白雪は憤慨した。

この1年で瑠璃がそんな真似をする性格ではないと、白雪はよく理解していた。

故に怒りながらも、この出鱈目な噂はすぐに消えるだろうと考えていた。




だからこの根も葉もない噂が、瑠璃を更に追い込むことになるなどこの時白雪は考えもしなかった。


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