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精霊と亡国の姫君  作者: 皐月乃 彩月
1章 はじまりのはじまり
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9話 秘密の同盟です!


「……この事は、どうか内密に……」


白雪は鈴にバレないように、口止めをしようとした。

この事が明らかになってしまえば、また小言を貰うのは間違いないからだ。


それに……こんなのがバレたら、また子供扱いされてしまいます。

それは嫌なのです。


「……お前何で変装なんかしてんの? 訳アリか? それに俺の事を知らないのか?」


「う、うーん? 別に見た事はないですけど? 貴方は有名なんですか? 変装は事情があって……それに、まだ正体を明かすわけには……あっ!」


変装少年の問いかけに、おバカな白雪は思わず余計な事までペラペラと本当の事を話しそうになった。


「フッ、お前変な奴だな」


そんな白雪の様子がおかしかったのか、警戒を解いて変装少年は笑った。


「む、もしかしてバカにしてますか?」


「いや、してないよ。ところでお前名前は?」


ムッとした白雪を見て、更に変装少年は笑みを深くした。


……何か見た目のせいか、余計に腹立ちますね。

喧嘩を売っているんですか?

受けてたってやりますよ!


「……樋室 白雪です。専攻は水です」


しかし鈴から目立つ行動は控えろと言われている白雪は、渋々ながらも聞かれた質問に正直に答えた。


「白雪、この花にピッタリのいい名前だな……俺は、双季(ふたぎ)だ。専攻は光」


変装少年、もとい双季は自己紹介とともに、キザな台詞を白雪にはいた。


「そ、それはありがとうございます?」


「何で疑問系?」


「いえだって、こんな格好でこの花にピッタリとか、ないです」


白雪はしどろもどろに言った。


この格好は、かなりもっさいです。

自覚はあるのです。

とてもじゃありませんが、この花と釣り合いません。


「でも、それ変装だろ?」


「そ、それはそうですが……」


「もしかして、照れてんの?」


双季は、クスクスと笑った。


私は今まで、身内以外でそんな風に誉められる事はあまりなかったので免疫がありません。

なので動揺するのは、仕方がないというものなのです。


「俺もさ……変装して、色んな事隠してるんだよね」


「そ、そうなんですか……?」


人それぞれ大変なんですね。


「あぁ。だから、おあいこだ」


「おあいこ?」


何がおあいこなんでしょうか?


白雪は、よく理解できずに首を傾げた。


「俺はお前の変装の事を誰にも言わないし、お前の秘密も追求したりしない。その代わりお前も、俺の事は秘密にするし、追求もしない。どうだ? お互いのためにも、良いことだろう?」


私の秘密も守られるし、彼の秘密もまた守られる。

私が鈴に怒られる事もない。

……確かに、良いことですね。


「はい、おあいこにします!!」


白雪は深く考えず、手をピシッとあげて双季の提案に乗った。


「単純だな……また来いよ、白雪。お前なら歓迎してやる」


そうして秘密同盟を築いた白雪達は、その後もちょくちょくこの温室で話をするようになった。



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