第2話
加賀に促され、店裏のガレージに案内された。
そこには、ところ狭しと、色とりどりのスポーツカーが並んでいる。
田中「すげー!シルビアにワンエイティにセブン!雑誌で見た車ばっかりだ!」
トオル「ホントにすごいです・・・例の予算内で買えるスポーツカーってどれですか?」
加賀「これなんだけど・・・」
ガレージの隅において合ったそれは、かなり年期の入った赤いオープンカーだった。
トオル「初代ロードスターですね。かなり古い車ですね」
「NA6C ユーノスロードスター」
日本が誇るライトウェイトスポーツカーで、世界で一番売れたオープンカーでもある。
1600ccで120馬力のNA(自然吸気)エンジンに軽い車体で、軽快なハンドリングがウリだ、が、しかしもう20年以上前の旧車である。
加賀「確かに古い車だけどアンダーパワーなFR(後輪駆動)は腕を磨けるし、良いと思うよ。その若さでスポーツカーってことは走り屋志望なんでしょ?」
トオル「あ、ばれてました?(笑)因みにこれ、いくらですか?」
加賀「特別に車検整備込みで、12万でどうかな?残りのお金はガソリン代にでもして、走り込むといいよ」
トオル「んー、魅力的な値段ですが、この古いロードスターで過酷なスポーツ走行出来ますかね?」
加賀「古くてもまだバリバリだよ。馬力もシャシ台計測でカタログ値出てるし、走行距離も4万キロ台だしね」
トオル「わかりました。これで腕磨いてみます。買います」
予算的にも選んではいられないだろう。これで腕を磨くしかない。
俺はロードスターを買うことにした。