第1話
遂にこの日がやってきた。
炎天下の工事現場で夏休みを棒に振った結果、何とか中古スポーツカーを買えるだけの資金を調達出来たので、今日は中古車屋に車を見に行こうと、車好きの友人「田中」と約束していたのだった。
母「トオル~!友達の田中君が来たわよ~!!」
トオル「今行くよ」
徹は階段を下りて、玄関から家の外に出た。
田中「おっすトオル!待ったぞぉ!」
トオル「おっす!相変わらず朝からハイテンションなやつだなwww」
俺と田中は小学生からの幼なじみで、高校までずっと一緒という腐れ縁である。
俺とこいつは車好き同士ということもあり、ウマが合うので学校の休み時間になると車の事ばかり話している。
本当に華の無い青春時代である。
田中「お、着いたぞ」
車の助手席で感慨にふけっていたら、いつの間にか着いたようだ。
わざわざ男二人でやってきたのは「加賀ワークス」という中古車販売及びチューニングショップで、この辺では唯一のスポーツカー専門店だ。
店に入ると、店主が話しかけてきた。
店主「どうも!オーナーの加賀です!今日はどういったご用件でしたか?」
トオル「スポーツカーが欲しいんです。安いやつが良いんですけど・・・」
加賀「スポーツカーですか~、ちなみに予算は?」
トオル「じゅっ・・・15万円です・・・」
加賀「・・・」
少しの沈黙の後、加賀は口を開いた。
加賀「有るには有りますが・・・現物を見て下さい」
加賀に促されるままトオルと田中は店の裏の車両置き場へ案内されたのだった。