一人目の犠牲者
突然の爆発音に身を起こすアンジュと弥太郎。銃に手を伸ばし、警戒する弥太郎と指輪に妖気を送り、反応を見るアンジュ。
「・・指輪に反応は無い。シンとカナンダじゃ無さそうだ。」
黒煙が上がり、爆発の場所を示す。近場で起きた爆発に固唾を呑み、現場へと向かう二人。
「!!」
煙が上がる中、立ち尽くす一人の少年。携帯をいじり、こちらに気付いた様子は無い。
「あいつか・・・。」
「なんだあいつ、携帯なんかいじりやがって。」
「ケイタイ?あれが『ケイタイ』って奴なのか?」
「ん?ああ、古いタイプだけどな。死んだ後でも携帯なんて持って来れるんだな。俺は無いけど。」
「・・・違う。」
「え?」
「あれはあいつの武器だ!!こっちに気付いてるぞ!」
アンジュが警戒した瞬間、少年の視線が二人に向けられる。
『ビュッ!!』
「!!」
小石を二人に向けて投げつける。次の瞬間。
『ドゴオォォォォオオオン!!!!』
「ぐっ・・。」
「うお!!」
身を伏せ、爆風に耐える二人。的確にこちらを狙っている事から二人の居場所がばれている事を確信する。
「なんでばれてんだ?気付かれたのか?」
「あの『ケイタイ』だよ。今まで武器として使われたって言う『黒い携帯』。銃にもなり、参加者全員の位置が分かるって言う代物だ。小石が爆発しやがった。これが『爆弾』とかいう能力か。」
「それ、携帯じゃねえよ!!意味分かんねえ・・。」
「現実を受け止めな!」
(五分五分とか言ってたな。なるほど、魔物が付いていない分、他の人間には強力な武器を与えたって訳か。牛頭鬼様もやってくれる。)
小石を拾い、こちらに目を向ける少年。殺意を感じ、アンジュは弥太郎に声を掛ける。
「おい、その銃で撃てないのか?」
「ちょっと待ってろ。くそっ!」
弥太郎が銃の照準を少年に当てた瞬間、彼の動きが止まる。
「!!・・あいつは。」
「どうした?」
「・・・間違いねえ。・・・浪岡だ。」
硬直した弥太郎に向けて少年が小石を投げ込む。
「!!」
「危ない!!」
アンジュが叫ぶと同時に再び爆発が起こる。小石は二人の手前で爆発し、直撃することは無かった。だが・・・。
「・・・居ない。」
巻き起こった煙が消えた瞬間、少年の姿はそこには無かった。隠れた訳では無い。おそらく『帰還』を使ったのだろう。状況からそう推測するアンジュ。警戒心を持ちながらも少年の居た場所に近づく。
「バラバラの手足・・・。間違いない。」
無残に散らばった人間の肉。一人の人間がここで始末されたのは間違いない。おそらく一回目の爆発だろう。少年が『権利』を得ていた事を確信し、胸を撫で下ろすアンジュ。
「ここにはもう居ない様だな。さて、それじゃあ聞かせてもらおうか。『浪岡』ってのは何者だ?」
「・・・お前も気付いてるだろ?俺の人生をメチャクチャにした奴だよ。」
「・・・やっぱり。」




