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四春期  作者: 新庄
新庄  (番外編)
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不幸せ


 親は小6の時に離婚した。「離婚しないで」と笑って言えていた記憶がよみがえる。母親も笑っていたと思う。

 友達と離れるのはつらかった。けど母親に付いて引っ越すことにした。父親側に残る意味が見いだせなかった。


 中高と友達もちゃんとできた。学校生活は楽しかった。家庭生活が地獄だった。弟は部活で帰りが遅い。私も中学まで剣道をしていた。引退してからは母親との時間が増えた。母親が弟のために尽くす時間を知った。その時から家族に愛された記憶がない。愛されていた記憶も思い出せなくなった。


 大学は芸術大学に行きたいと言った。猛反対の母親を先生が説得してくれた。あきらめた母親が言ったのは「行って現実を見てきなさい」だった。母親は私を挫折させるために大学進学を許した。だから今でも「やりたいことはないの?」と毎日のように聞いてくる。私は今、やりたいことのために大学に行っているのに。だから私は絶対に成功しなくてはならない。


 年に一回は父親の実家に帰る。私は義務的にその行為を行っていた。今では帰るのが億劫だ。父親の実家でも愛は感じられなかった。祖父母も父親も弟の部活の話ばかり。私が部活をしていた時もそうだった。私は個人戦で大会に進めたことも家族には自慢できなかった。


 去年も実家に帰った。私は18歳。その時の父親の言葉が「なんか期待外れ」だった。

 父親を父親と思えない。昔からそうだった。だから大学の名前も言えなかったし、お金の援助も頼めなかった。頼むのが怖い。父親に金目当ての子供と思われるのが怖かった。もう、父親を父親と思えていない証拠だ。母親は「子供から頼られれば父親はうれしいのに」と言われたが、信じられなかった。

 私が信用できる肉身は父親の弟だけだ。明るくて子供みたいな性格。しょーもないことでもメールをくれたりする。5年ほど前に結婚して子供が生まれた。

 去年、父親に最悪の言葉を言われた年にその家族にも会った。子供が苦手な私は子供にかかわらなかった。でもなぜかなつかれた。子供好きの弟よりなついてくれた。一緒にお風呂に入りたいとも言ってくれた。泣きたくなった。その子が大人になった姿を想像した。





 私は愛された記憶があいまいだ。母親のことは普通に好きだし、弟も。でも、愛されているとは思わない。同時に憎い。

 だから私は人を愛したい。将来家庭を築いて、子供を産んで愛したい。誰よりもやさしい人になりたい。




 19歳になった今では、母親が離婚した理由も、父親が浮気をした理由もわかる。不幸せを知っていることは幸せなことだとも思えるようになった。それに、私の境遇が不幸せと言うのも被害妄想な気がしてきた。


END


ありがとうございました

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