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四春期  作者: 新庄
橋本 美波
27/34

いつものチョコ


 サバサバ系女子とは男子に気に入られたいがあまり、口調を乱暴にしたり「私、サバサバしてるんだよね」という発言を自らする女子のこと。らしい。 美波は生態を説明したあとに、自分のトラウマも語りだした。


 「うち、中1の時に嫌われとったんやで。理由もわからんと女子から無視されて…。後から『男子に媚びすぎ』『ぶりっこ』って悪口を言われてたんを知った。そんなつもりなかったのに。『可愛いからって調子に乗ってる』。意味わからんやろ?」


 驚くほど早口だった。まくしたてるような口調に、喜多山は何も言えなかった。


 「だから…。本当は男子ともっと話したいし、お姫様扱いとかされたいけど、わざと男っぽく振る舞って……。やっと中2になって無視とかもなくなった。知らんかったやろ」


 美波は、最後の言葉を少し誇らしげに言ってみた。そうでもしないと泣いてしまいそうだ。喜多山は「しんど…」と呟いた。


 「自分抑えるとかしんどいわ」

「…うちは、自分らしく生きていくより、自分を隠してでも女子と仲良くしていきたい。じゃないと…」

「これからも?」

「男子は分かってへんな。この世界は女子の評価が絶対なんやで。4組の佐藤くん、惠美の悪口言って女子全員から無視されるようになったねんから」


 結果的に女子はめんどくさい。喜多山はそういう考えに至った。ふぅっと息を吐き、傘の持ち手をずらす。汗がにじんできていた。傘はもう耐水性を失っている。布の部分にはじかれない雨がべたっとねばりついてくる。


 「……男子は良いよね」

「そうでもないけど…」

「喜多山。うちのこと嫌いになった?」

「はっ?」

「喜多山は、うちが女子のくせにサバサバしてたから、友達になってくれたんやろ?」

「まぁ、それもあるけど」

「……否定せんのか…」

「でも、今更友達やめるとかはないけどな」

「ほんま……?」

「チョコいる?」

「いただく…」


 喜多山はいつものチョコをポケットから出した。美波はゆっくりとチョコを口に運ぶ。今日は大事に、舌で転がしてみた。いつもと同じ味だ。


 「将ちゃんに……男に賢さを求めたうちが、ばかやったわ」

「おっ? もうギブ?」

「そんなわけないやろ」





 END

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