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迷宮の輪舞(ロンド)  作者: いかすみ
迷宮制作編
15/27

15 学校迷路

変更箇所 最終迷宮ポイント数

うっかり金額とポイント数の概算を間違って

書き込んでしまいました。

1億の限界で20億ポイントもたまる訳あり

ませんね。


学校迷路



隆之の作った迷宮は街の様相を大きく変えた。


僅か、数ヶ月で白国最大の迷宮街までに発展した。


人口的には多い街だけども、その住人の冒険者レベルは低かった。


あまりに、簡単な迷路構造が噂に上がっていたからだ。


大きな迷路はそれだけ周りの警戒が必要で多人数で当たることになる。


そのため、最初は高レベル冒険者は敬遠した。


大きく変わったのはその冒険者のレベルだ。


適正なレベルで挑戦するパーティー。


徐々に高レベルに対応する迷路構造。


弱点の少ないモンスターと種類の豊富さ。


それらが、冒険者のレベルを飛躍的に高めた。




『学校迷宮』


隆之の迷宮に付けられた名称だ。


多くの迷宮が死や困難をイメージする迷宮名称。


『難航迷宮』『死の迷宮』『貧困迷宮』などだ。


あるいは、迷路に出現するモンスターの名前に対して付けられる。


『猿迷宮』『羊迷宮』『ネズミ迷宮』などだ。


それに対して、隆之の迷宮は基本に沿った迷宮だ。


この世界にも最低の教育を促す塾のような学校がある。


加減と文字を教えるところだ。


隆之の迷宮は、それを指して付けられた名前だった。




冒険者のレベルを計るために迷宮の階数がランク分けに適用された。


新規の冒険者は隆之の迷宮から始めるように通達がなされる。


その辺の王家の対応は早かった。


そんな事情もある。


隆之の迷宮は一年も経たないうちに高収入をもたらした。


一日の収入が一億Gを越えるほどに!


宝箱を、菊に任せて自動配置しても間に合わなかった。


宝箱の設置より収入が上回った結果だ。


隆之のゲームエンドだった。





99(階数)


0(モンスターポイント)


2582694(迷宮ポイント)


10000000G(資産?)

カウンターストップ状態






隆之は再びあの空間に立っていた。


「お疲れ様、すばらしい成果だわ」


「・・・」


「まさか、宝箱をばら撒いて冒険者を集めるなんて斬新な発想ね」


「・・・」


「約束通り、戻してあげるわよ」


「・・・」


「あなたにはいくら感謝しても返せないほど恩恵を受けたわ」


「それなら、もう少しやらせてくれても・・・」


「御免なさい。それは、誓約の関係で無理。これ以上あなたを縛ったら私が罰

 せられるから」


「助けた彼女と若者は?」


「もう、先に帰しておいたわ。と言ってもあなたの次元では同時だけどね」






奴隷に買われた彼女も迷宮にやってきた。


本来なら、同じ迷宮製作者しか手を出せない金額だ。

(1万G=10億円以上相当の金額だ。10Gで食費だけなら普通の冒険者は

 一年生活できる)


奴隷にしても、性奴隷は不可能な状態だった。


不可侵と不滅の肉体は彼女を一切傷つけない。


恋愛を楽しむぐらいは出来ても・・・


しかし、奴隷として買った主人になびくわけがない。


それでも、購入した理由は使い道があったからだ。


金持ちが、こちらの人間界ではありえないほどの大金を投じて購入した理由。


それは、彼女を無敵の盾と使った。


『無敵の戦士』と言ったほうが正しいのか。


もっとも、『不可侵と不滅』といっても彼女自体に刃物は食い込む。


ただ、それを抜いても傷が残らないだけだ。


彼女自身への恐怖は半端ではなかった。




隆之は金持ちと交渉して彼女を買い取ろうとした。


しかし、金持ちは隆之の前で彼女を服を脱がせたほどだ。


『鑑賞用』としても価値の高い奴隷を自慢していた。


それだけのことをしても逆らえない理由。


それは、奴隷に付けられる『制約の首輪』の所為だ。


金持ちは、精神的に彼女を責めることで、屈することを期待していた。




金持ちの男の、えげつない使い方だ。


単独で、モンスターに当たらせるのは当然だった。


宝箱の開錠も同様だ。


罠が発動しても彼女にダメージは入らない。


ほぼ、無敵状態による迷宮侵略だった。




不可侵の肉体に傷つけることは出来ない。


そのため、ほぼ一方的にモンスターは狩られていた。


宝箱の罠も同様だ。


いくら、無敵でも恐怖に身をすくませているシーンを何度も見させられた。


休憩時間に精神的に参っている姿も見かける。


さすがに、戦闘中は慣れたようだ。


けれども、彼女が壊れるのは時間の問題だった。




その金持ちのやり口に腹を立てた隆之は宝箱に罠を仕掛ける。


今まで、宝箱には簡単な罠しか仕掛けていない。


細かい設定しているぐらいなら新しい宝箱を作った方が楽なほどだ。


宝箱をいくら開けられても構わなかった。


ただ金を消費するために奔走していた時だ。


けれども、さすがに金持ちのやり方には腹が立った。




隆之は罠を仕掛けて誘い込んだ。


案の定、金持ちは罠に飛び込んできた。


無敵の賢者を有した金持ちは開錠もせずに罠をあけていたからだ。


罠の種類は、装備の全剥奪だ。


彼女の装備はすべて奪われた。


箱を開けたとたん、一糸纏わぬ姿にされてしまう。


当然、彼女を縛っていた奴隷の首輪を含めてすべてだ。


金を掛けて、魔法耐性装備もすべて剥奪する罠だった。


勿論、アラームも仕掛けてある。


直後にその階のモンスターが一斉に襲い掛かったのは当然だ。


隆之のダイレクト命令にモンスターは仕掛けられていた制約を無視して襲った。




彼女に守るように命令をしていた金持ちだ。


しかし、モンスターの襲撃にパニックになっていたのは当然。


新たなる制約の首輪を嵌める考えまで至らなかった。


それと、前衛・後衛に分かれていたのも弱点に繋がる。


護衛していた魔法職は真っ先に潰された。


勿論、彼女が言う事を聞くわけはない。


守るように命令されて戸惑っていた。


けれども、善人の彼女だ。


それでも、金持ちを守ろうと動いた。


けれども、多勢に無勢だ。


一方、仲間の奴隷達は次々と殺されて入り口へ飛ばされていく。


最後は悪役らしく一人残って泣き叫んでいた。


金持ちは殺されて、入り口へ転送される。


残ったのは無敵の彼女だけだった。




隆之は、菊に命じて装備一式を用意して酒場に連れ戻す。


関係ない通り掛かりの冒険者を装っておいたのは当然だ。


けれども、彼女は隆之の顔を見たときに硬直していた。


『俺の顔を知っているのか?』


隆之が疑問に思ったときだ。




酒場では、当然金持ちと再対決。


奴隷の首輪が消えたけれども、彼女に対する権利は存在していた。


隆之は迷宮で拾った奴隷なので権利を主張。

(奴隷かどうかは国民登録の関係で確定、後は持ち主の証明だ)


首輪が消えていたので、持ち主の証明は不明。


ただ、奴隷を買った証明は生きていた。


金持ちとの、全面対決だった。


勿論、隆之はすでに手を打ってある。


仲裁は神殿の神官が行った。




勿論、菊の『天からの声』の指示による行動だ。


それでも、一方的に取り上げては『神』の名に傷が付く。


彼女を巡って再度のオークションが行われる。


奴隷の購入はオークションで行われるからだ。


金持ちは一万Gの権利を有しているので笑っていたが・・・


隆之は、十万Gにて二人まとめて落札。


金が余っていたので幸いなぐらいだ。


本当は一千万Gほど使いたかったのに・・・


入札制限に掛かって一万G単位でしか上乗せできなかった。




金持ちは開き直りで付き合っていたけど・・・


さすがに、八万ゴールドを越えたところで青い顔をして降りた。


もしこちらが上乗せしなかったら、一体どうなっていたのか?


少しだけ試してみたい誘惑にかられた。


けれども、隆之もそんなに時間を持て余したわけではない。


事実上のゲーム締め切りが迫っていたからだ。


もう一人は、すんなり一万Gで落札。


金持ちは最初の一万Gを返されて終わりだ。


結局、神殿が七万G丸儲け!


晴れて、解放された二人は隆之の依頼で現実に戻された。






「彼女の精神的な物は大丈夫なのか?」


「不必要なことは忘れさせたから、覚えているのはあなたに助けられたことぐ

 らいかな」


「なんだそれは?」


「まあ、あなたのお陰で救われたことは感謝しているわよ」


「それで、俺はもう用無しか」


「そうね、私としては迷宮作成の技術を教わったから」


「・・・」


「もう、会うことは無いとおもうけど、言わせて貰うわね。ありがとう」


そう言って笑顔で送られる。


その時の格好は、彼女に突き飛ばされた形のままだった。



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