12 迷宮の作成
迷宮の作成
迷宮をいよいよ作ることになる。
念のために確認しておく。
『迷宮設置後変更は可能?』
「キャラクターが迷宮内に居るときはその階より上は変えられません。ただし、
モンスターポイントの配置はその範囲に何もなければ可能です」
菊の返事は予想通りだ。
誰かが一人でもその迷宮に居れば、迷宮の形は変えられない。
当たり前、といえば当たり前だ。
行きと帰りで迷宮の形が変わっては反則になる。
だから、一度開いた迷宮は変えないほうが良いだろう。
ただ、モンスターポイントは後からでも追加は可能だ。
それなら、様子を見て適時追加していった方が良い感じだった。
今度の迷宮は本番だ。
失敗は許されない。
もっとも、失敗した時はモンスター配置をやめて諦めるだけだ。
できれば、誰もが挑戦できる簡単な迷路にしたい。
試験運用も兼ねて五階程度で様子を見る方針だ。
覚悟を決めて迷宮の作成に掛かった。
入り口からの直線通路。
もう随分前に見たような気がする。
その通路を右側に大きく振る。
そして、奥の方ギリギリを通して左側に振った。
手前に通路先端を引き寄せて入り口の少し奥で接続した。
迷路ポイントが一つ減る。
残り99Pだ。
入り口を迂回するようにループを作る。
そこで気付く。
交差点は二つあるのに迷路ポイントは一つしか消費していない。
『どういうことなのかな?』
疑問符の形で菊に質問したけど返事は無い。
どうやら、迷宮作成の要領に関することだ。
だから、アドバイスから外れるのだろう。
自分なりに回答を考える。
最初大きなループを描いた時には1P消費した。
そこで、思い当たる事があった。
迷路ポイントの消費は、分岐交差点の数ではない!
今まで分岐の数で減っていたので誤解していた。
通路一本につき1Pだ。
だから、本来なら最初に1ポイント消費する。
でも、それは絶対に消費するポイントだ。
だから、サービスだったのだろう。
二階以降は階段がその分を補っている感じだ。
ループを完成させたところで通路の先端が確定した。
そこで、1ポイント消費される。
簡単に言うなら、入り口から最初の通路分岐まではサービス。
そこから先のループに1ポイント消費した形だ。
ループはどんな複雑でも『一本の迷路』としてしかカウントされない。
それならループを使えば、もっと効率よく迷路は複雑に出来た。
細かい枝は迷路が勝手に作ってくれる。
隆之のやることは大雑把なレイアウトを決めるだけだ。
隆之は、要領を掴むとレイアウトの配置に入った。
大きく広げた最初の通路。
そして、手前、右、右奥、左奥、左に新たなるループを作る。
勿論、曲がりくねって単純な物ではない。
それに対してそのループの中に点のような空間を作った。
イメージ的には固定された空間だ。
これは、将来使う予定の候補だった。
今は自動迷路作成に使われないように確保だけしておく。
全部で8Pをつかって一階のレイアウトを決める。
最初を思えば遙かに少ないポイントだ。
けれども、自動作成が作動して隙間を埋めていく。
大きなホールがあちこちに出来てかなり複雑に見える。
でも上から目線で見れば判るけど、迷路にもなっていない。
そして、入り口に階段を設けた。
今度はモンスターポイントだ。
通路の数がすくないためあちこちに部屋のような広場が作られる。
それらの広場にポイントしていく。
もし、追い込められても部屋が広ければ、ポップする場所が散らばる。
モンスターが逃げる余地が生まれるからだ。
そして、通路が狭くなったなったところに罠を五箇所仕掛けた。
モンスターが逃げるための足止め目的だ。
迷宮ポイントは
100-8(分岐迷路)-20(モンスター配置)-1(階段分)=71P
金額は10000-100(罠)×5=9500Gだ
モンスターが出現すれば、さらに-200Gで9300Gになる。
けれども運用前の表示は9500Gだ。
この辺は気をつけないと大変だった。
運用直後に赤字では笑えない。
一階はこれで完成だ。
二階も同じ構造にする。
迷宮の形は全然違うけど、レイアウト構成は同じだ。
迷宮ポイントは
71-8(分岐迷路)-20(モンスター配置)-1(階段)=48P
金額は9300-100(罠)×5=8800G
モンスターが出現すれば、さらに-400Gで8400Gだ。
表示は9000Gになっている。
この辺りのモンスターは安い。
そのため、目一杯配置した。
次は三階だ。
同様の構成で望む。
迷宮ポイントは
48-8(分岐迷路)-15(モンスター配置)-1(階段)=24P
モンスターポイントは15しか設置しない。
この辺は、実際に使ってみてから変更を検討する。
金額は8400-100(罠)×5=7900G
モンスターが出現すれば、さらに-450Gで7450Gだ。
表示は8500Gになっていた。
徐々に運用と表示の誤差が大きくなってくる。
気をつけないといけない。
モンスターの値段が三倍になっているので節約も検討していた。
初期費用10000Gはそれほど多くない!
改めて、実感する。
ここで、迷宮ポイントを購入する事にした。
最低でも地下5階までは作りたい。
予定ではモンスターポイントを10P×2を配置する。
地下への階段で2P使用、通路は同じ構造を採用して8P×2
合わせて38Pだ。
現在は24Pの残量。
不足分は14ポイントだった。
金額的なものは7450-100(罠)×10=6450G。
モンスターが出現すると400G+500Gになる。
差し引きすれば、5550Gだ。
モンスターの補充分を考えるなら二倍は考えたい。
200+400+450+400+500=1950G
ここまで使用のモンスター分を上乗せする。
思ったよりモンスター設置の負担が大きいことがわかる。
しかし、これぐらいのマージンを最低取って置かないと後が怖い。
残りは、5550-1950=3600Gだ
3600Gだから、最大で36ポイントまで買える。
けれども、少しは余裕を持ちたい。
20ポイントを購入して様子見だ。
迷宮ポイントが6Pあれば、なんとか出来る。
もし、モンスター拠点を潰されても再設置可能だった。
隆之は、購入を決断した。
『菊、迷宮ポイントを購入したい』
「迷宮ポイントをいくつ購入しますか?1ポイント100G」
『20Pを頼む』
「了解しました」
資金、8500Gが6500Gに変わる。
見た目にはまだ余裕に見えた。
けれども、2000G近くがモンスターに消費される。
それを考えると余裕は無い。
迷宮ポイントは24Pから44Pまで増えた。
そのまま、地下4階と5階を作成する。
地下五階を完成させたときの表示は
05(階数)
007P(迷路ポイント)
10P(モンスターポイント残量)
5500G(資産)
地下五階については下に下りる階段をまだ入れてない。
一件余裕があるように見えるけど予算は本当にギリギリだ。
モンスターが動けば無条件で1950G消える。
すると、残りは3550Gだ。
モンスターの消費が激しければあっという間に食いつぶしてしまう。
これで、どこまで稼げるのかが勝負だ!