【71】~【80】までの大筋
※【71】~【80】までを簡単にまとめてみました。
俺はおっちゃんの声を無視して、思いきって魔法陣の上に片足を踏み下ろした。
その後――。
魔法陣の中心では綾原と入れ替わるように白い子犬が現れ、座っていた。
子犬は両翼を背に折りたたみ、パタパタと尻尾を振りながら俺に言う。
戦イ ハ 終ワラナイ。君ハ再ビ コノ世界ノ 覇者ニナル。
君ハ コノ世界ノ 人間。
記憶ヲ失ッテイルダケ。
ナゼナラ君自身ガ クトゥルク ダカラ。
子犬のその言葉に俺は怪訝に眉をひそめる。
そんなはずがない。生まれた頃からの記憶はあるし、綾原の中にだって俺の記憶はちゃんとある。
俺は子犬の言葉を受け入れることができなかった。
そして俺は気付いたら神殿の別の場所に瞬間移動していた。
そこでイナさんとデシデシ、小猿と再会する。
小猿が俺に聞いてくる。
「小僧っ子よ。奴と一緒ではないのか?」
経緯を説明しようにも声が出ないのでどうしようもなかった。
俺はとにかくできる範囲のジェスチャーでイナさん達に伝えようとする。
そんな時、狼の遠吠えがどこからか聞こえてきた。
共に突然鈍い痛みに襲われ、俺は顔を歪めて座り込む。
「見ろ! クトゥルクの化身だ! 天空の白狼竜がこの街にご降臨されたぞ!」
その一声に、俺は痛みを我慢しながらもイナさん達とともにゆっくりと窓辺へ移動する。
見れば遠く向こうに、俺がいたはずの神殿が見えた。
神殿は半ば倒壊し、そこを占領するかのように純白の毛並みと翼を持った巨大な狼が佇んでいたのだった。
その後、俺はあの場所に取り残されているであろうモップを捜して、イナさんの肩を借りながらデシデシと小猿とともに移動を開始する。
しかしその途中で、俺はセガール達に見つかり捕まってしまう。おっちゃんとの交信が取れない中で俺は危機的状況にあった。
そんな時に一人の神殿兵が助けに入る。
おっちゃんと再会できた俺は、巫女の無事と街の現状をおっちゃんから聞く。実は俺が知らない裏でセディスの感染力が神殿の外にまで広まっていたらしいのだ。それを阻止したのがクトゥルクの力――【覇者の威圧】だった。
だが同時に黒騎士との膠着状態が続いていた。それを解くには俺が白狼竜に命じるしか方法はないそうだ。しかしそれには白狼竜に見つからないよう命令しなければならないらしい。
ここで立ち往生していても何の解決にもならないので、とりあえずイナさんを神殿兵が背負い、小猿とデシデシは俺が抱いて移動することにした。
白狼竜の手前まで来たところで俺たちは、とある建物内で一旦休憩をとって今後の作戦を練る。
要するに俺が帰還魔法陣で向こうの世界に帰ればいいんだろ?
『まぁな。だがリ・ザーネは白狼竜の足元にある』
どちらにしろ白狼竜を動かさないと俺は元の世界に帰れない。
俺はおっちゃんに一つ提案をする。
『非常に危険な賭けだな。勝負は一瞬。セディスが出てこなかったり、黒騎士が動かなかったり、白狼竜に先に拉致さられたりと一つでもズレればお前が大惨事だ。――それでも賭けるか?』
賭ける。
俺とおっちゃんは賭けに出た。
だが俺には一つ心配なことがあった。セガールに襲われた時にイナさん達が気絶させられてしまったのだ。無防備な彼女たちをここに置いておくのは少し心配だった。
『お前に彼女らを守れるのか?』
おっちゃんのその言葉に俺は静かに首を横に振る。
そうだよな。ここに置いていた方が安全なのかもしれない。
俺はイナさん達を建物内に置いて外へと出ようとした。
その直後、気絶した振りをしていたイナさんの突然の裏切りにより、俺とおっちゃんは再び引き離されることになる。
イナさんは俺を連れ去り、そして俺を使って白狼竜に取り引きを持ちかけようとしていた。
しかし白狼竜の圧倒的気迫を前にして、イナさんは怖気付くように俺から離れた。
白狼竜に見つかった俺は白狼竜に拉致られようとする。必死に白狼竜に命令を下すも拒まれ、現実世界への帰還はもはや絶望的なものとなった。
俺を連れ去ろうと白狼竜は翼を広げ、飛び立つ準備を始める。
もうダメだ。
諦めかけていたその時、セガールの一味によって俺は助けられる。拉致られるのかと思いきや、逃がしてくれるようだ。
取り引きめいたことを言われたけれど。
願ってもないチャンスに、俺はすぐさま帰還魔法陣のある場所へと向けて駆け出す。
そして無事帰還魔法陣を見つけることができた。
このまま帰れるかと思いきや、そこに異形の姿に変わり果てたセディスが現れる。
「せっかくこの世界に引き込んだクトゥルクの力。あなたはここで喰われ、これから変わる神の礎となるのです」
逃げる手立てを持たなかった俺は死を覚悟する。
そこに何を思って現れたか、危機一髪のところで俺はケンタウロスに助けられた。
多少俺に恨みを持っていたケンタウロス。最後の最後までアテにならない奴だった。
そして再び訪れた危機から最終的に俺を救ってくれたのは、おっちゃんだった。




