表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/74

ツインズ・フール【64】


 一人の神殿兵が、ふと庭園へと目を向けた。

 そして隣にいたもう一人の神殿兵へと声をかける。

「おい」

「どうした?」

「この庭園はまだ調べてなかったよな?」


 うげーッ!

『うげーッ!』


 巫女は無言でリアクションを、俺とおっちゃんは内心で叫んだ。


 どうすんだよ、おっちゃん!


『どうしようもない。これはもう運だ。運にかけるしかない』


 運頼みかよ!


『今動けば百パー見つかる。だが動かなければ九十八パーセントの確率で見つかる』


 それ二パーセントしか助かる確率残ってねぇじゃねぇか!


『二パーセントでも残っているだけマシだと思え』


 嘘だろ、おっちゃん!


「何事ですか?」

 落ち着き払った綾原の声がすぐ近くで聞こえてきた。


「奈々様」

「奈々様」


 綾原は答える。

「巫女様が今慌てて向こうの方へ走って行かれたのですが、何かあったのですか?」


「行くぞ」

 綾原を無視するように、神殿兵が向こうへと走っていくのが足音でわかった。

 複数の足音が遠ざかり。


 綾原が俺たちのいる茂みに声をかけてくる。

「またかくれんぼですか? 巫女様」

 茂みから巫女が慌てて顔を出す。

「ち、違う! これは──」

 言いかけて、巫女はハッと口元を手で覆った。急に取り繕った態度で女々しく身じろぎ、

「ちち、ち、違うでございますわよ。ほほほ」


 俺は密かに鼻で笑った。

 大変だな、おっちゃん。


 綾原が巫女に詰め寄る。

「やはり巫女様の体には何かが取り憑いているようですね」

 たじろぐように巫女が身を引く。

「い、いや、実はだな、これには深いわけがあって」


 声も見た目も巫女なだけに事情を説明するのが大変そうだ。


 内心でおっちゃんが俺に助けを求めてくる。

『おいコラ、笑ってないで助けろ。お前の知り合いだろ? どうにかしろ』


 仕方ないな。

 俺はその場から立ち上がり姿を見せた。


 綾原が俺を見てハッとする。

「あなたはあの時の──。無事だったのですね」


 俺は綾原に事情を説明しようとして……。


 …………。


 声が出ないことに今更気付いた。

 俺は無言のまま情けなく頬を掻いて視線を逸らす。


 巫女が黙って俺を睨んでくる。

『余計事がややこしくなっただけじゃねぇか!』


 だったら俺にどうしろって言うんだよ!


 ふと複数の足音が聞こえてきて。

 綾原が俺の手を取り、どこかへ導く。

「事情は後ほど聞きます。あなたも巫女様も、どうぞこちらに」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ