長いものには巻かれて簀(す)巻き【46】
ケンタウロスです。前回パンティーの色を聞いた直後に主人公から「空気読めッ!」とぐーパンチされたとです。ケンタウロスです。今は主人公にガン無視されとるとです。ケンタウロスです。自分はただ純粋にパンティーの色だけが知りたかったとです。ケンタウロスです。ケンタウロスです。ケンタウロスです……。
「はい、お兄ちゃんどうぞ」
雑貨屋から母親と一緒に出てきた女の子――アミルが、俺にミサンガを差し出してきた。
アミルの母親が言葉を添える。
「これから始まる修行の旅に、神のご加護があらんことを。私達はあなたが立派な使役魔術師となり神の御許へと仕え行くことを誇りに思います。これはその旅路を祝う贈り物です。どうか受け取ってください」
「お兄ちゃん、手を出して。アミルがつけてあげる」
そう言ってアミルが俺の手を掴んできた。その手首にはもちろん──
アミルが残念そうに肩を落として顔をしぼめていく。
「なーんだ。お兄ちゃん、すでに誰かから贈り物もらってたんだね」
あー、えっとこれは……
俺は言葉を濁して頬を掻いた。
向こうの世界でもらった物だとは言えない。
「じゃぁアミルは反対の手首につけてあげるね。お守りはたくさんもっていた方がいいよ。その方が神様にいっぱいお願い事聞いてもらえるから」
言って一生懸命に、アミルは俺の手首にミサンガの両端を結んでくれた。
その背後で荷車に乗ったデシデシがうらめしそうに呟く。
「Kだけずるいデシ。ボクもそういうのつけてもらいたいデシ」
いや、お前がつけたら首輪にならないか?
アミルがデシデシに駆け寄り、俺と同じ色のミサンガをデシデシの首に巻いてつける。
「ちゃんと猫ちゃんのもあるから。うらやましがらないで。みんなおそろいの色を買ったわ」
そう言ってアミルはデシデシだけでなくモップにも小猿にもスライムにも、俺と同じ色のミサンガをつけて回った。
「これからみんなで一緒にこの街から旅立つのよ。旅では仲良く協力しあって、お兄ちゃんが立派な使役魔術師になれるようにあなた達が頑張らなきゃならないんだから」
作業が終わり、アミルが俺の前に来る。
「ねぇお兄ちゃん。これから神殿に行くところなんでしょ? アミルが一緒に連れて行ってあげる」
「アミル。この人はお母さんが連れて行くから、あなたはもう家に帰ってお留守番してなさい」
「お母さんばっかりずるい。アミルだって一人前の信者だもん。ちゃんと一人で神殿の中にご案内できるもん。アミルもお兄ちゃんと一緒に神殿に行きたい。だって使役魔術師の人と一緒じゃないとあの塀の向こうに入れないから」
そういうことだったのか。だからイナさんは──
俺は真顔になって内心でおっちゃんを呼んだ。
おっちゃんが俺の頭の中で話しかけてくる。
『どうやらイナが捕まった可能性が高いな。お前なら神殿に入れそうだがどうする?』
もちろん行く。
『現地人と一緒ならなんとかなるかもしれん。行けるところまで行ってみるか?』
俺は無言で小さく頷いた。




