他にやることはないのか?【4】
女教師――黒江はハッキリと課題を告げた。
「私たちが取り組むべき課題はこれよ。
小さいおっちゃん都市伝説。Kを探し出して百万円の部費ゲットせよ」
絶対真の目的は後半だ。
その場に居る全員が白んだ目で黒江を見たのは言うまでもない。
黒江が慌てて言い訳する。
「その、勘違いしないでね。けしてあなた達を利用しているわけじゃないの。本来の目的は部の資金調達だから」
金じゃねぇーかよ。
黒江は咳払いして気を取り直す。
「お金のことはともかく。この都市伝説に関するネタを番組に提供することで、学校にあのトップアイドル杉下ゆいなが来てくれるかもしれないってことよ」
おぉ。と、部長たちが興奮の声を漏らす。
黒江は言葉を続ける。
「そして、学校にとっては全国にアピールできる良いきっかけになるってわけ。校長も喜んでまさに一石二鳥。わかった?」
そして黒江に百万円ってことか。
呟く俺に、指を突きつけて黒江は言う。
「そこ、黙ってなさい」
黒江は懐から二枚のDVDを取り出し、言葉を続ける。
「そういうわけで、今までの放送を全部これに録画編集しておいたから、あとで資料室でそれを見て、そして午後から番組に寄せられた情報を基にネタを探しに行くわよ」
「午後から!?」
午後から!?
俺と朝倉の声が見事に重なった。
黒江の顔が般若に変わる。そのままスッと俺たちの前へと歩み寄り、ドスのきいた声で脅してくる。
「わかったな? 二人とも」